持ち込み原稿 | 書籍編集者の裏ブログ

持ち込み原稿

先日、持込原稿が送られてきました。

封書で、企画書と目次、丁寧なお手紙、さらに近刊を同封という非常に体裁のととのったものでした。

この仕事ををしていると、「持ち込み原稿」と接する機会は多いです。

さて、「持ち込み原稿」は一般的に編集部内でどのように扱われるのでしょうか。


1.返送される。

これが一番多いかと思われます。基本的に持ち込みお断りという編集部多いです。


2.ほっとかれる

これも多いと思います。目の前の仕事に追われていて、持ち込みまで読んでいるヒマのない編集者が大半でしょう。


3.新人が読む

編集部に配属されたばかりの新人がいる場合、デスクや部長が「井戸くん、これ読んでみて」と手渡される場合があります。手渡された井戸君は一所懸命徹夜で読み、翌日、上司に内容を説明し、感想を述べます。すると上司は「うん、わかった、でも出版は無理だよね」と言います。


以上で90パーセントは処理されてしまうのではないでしょうか。

さて、これらの障壁を乗り越える原稿はというと、


1.すでに著作がある著者の場合

先日送られてきた原稿はこれにあたります。この場合、ある程度の水準は確保されていると考えられるため、梗概や目次などに目を通し、ざっと通読し、どうするか考えます。


2.知り合いの原稿だった場合

実は先日送られてきた原稿はこれにもあてはまります。直接の知り合いではなくても、紹介者がいる場合、相手との関係にもよりますが、必ず読みます。特に著者筋の紹介だと、確実でしょう。


3.たまたまその編集者が持ち込み好きだった場合

実は私、持ち込み好きです。通常上記1-3の扱いを受ける原稿でも時間のある限り、読みます。


さて、その後は、となると一概に言えないのですが、先日の原稿を例にとると、拝読した原稿は出版できるものではありませんでしたが、ともかく、著者に連絡をとり、お目にかかりました。そこでいろいろ雑談を交わし、「もう少しこういう方向なら」とか「このテーマの方がおもしろいのではないか」とか、かなり有意義な意見交換ができました。もう一度企画を練り直すということで、お別れいたしました。

 一般的に持ち込み原稿が出版されるケースは少ないです。いろいろな理由があるとは思いますが、一番の理由は本が著者と編集者の共同作業によって作られるものだからではないでしょうか。編集者側の出したいという思いと著者のライターズエゴが交差して初めて本になります。そんな原稿が持ち込まれることは極めてまれで、やはり大きなズレがあると言わざるを得ません。ある意味完成された原稿が送られてきて、それに対してイエスかノーかという判断を下すという状態になれば、よほどのことがない限り、イエスとはならないです。


さて、余談ですが、なぜそれでも、私は持ち込み原稿が好きで、読み続けるのか? ヒマなのか? そういわれればそういう気もしあにでもないですが、本音は純粋に面白いからです。

本としての市場性はともかく、人が懸命に書いたものはやっぱり面白いです。ズレている方がかえって、その人の顔が見えるようで興味がわきます。いろんな人がいろんなことを考えているものだと実感します。そんな機会が与えられるのもこの仕事の醍醐味かな、と思ったりもします。