新書77:切り込み不足 | 城人のブログ

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酒井政人『箱根駅伝は誰のものか「国民的行事」の現在地』 平凡社新書1043

 

23年の11月に発売。

絶妙なタイミング。

 

実は、今のように日本テレビ系列ではなく、

テレビ東京で放送していたとか、驚きの歴史を知ることができる。

 

24年は第100回の記念大会だった。

という事で関東以外の大学も予選会に出場(結果は本戦出場校無し)。

 

箱根駅伝の主催者は、関東学生陸上競技連盟!

なので関東以外の大学は、出場資格すら無い。

 

ここに読売新聞と日本テレビ(系列)が関係して正月の一大イベントになっている構図。

 

自身も箱根駅伝を走り、箱根駅伝ジャーナリストを名乗る

著者は、この構図に異を唱える。

 

主催者らに莫大な収益が入り、学生に還元されていない、と。

 

しかし、しかしだ。

選手に利益が還元されている学生スポーツなど聞いた事がない。

 

高校野球のいわゆる春の選抜や夏の甲子園だって、

主催者に莫大な利益が入っていると思うのだが・・・

 

主催者側から見れば、ビジネスであり、利益が見込めないイベントなど誰が開催するだろうか。

 

それに日本全国の注目を集める大会に出場する事自体が、

選手にとって大きな利益になると思うのだが・・・

 

一方で、行き過ぎた学生への待遇は批判しているのだ。

 

授業料免除どころか、給料のような金銭を受領している学生もいるというのだ。

さすがに「給料」支給はいかがかと思うが、

タダで大学に通学できる。有望な実業団への就職の斡旋など、

世間一般の大学生に比べれば、大いに利益を受け取っていると思うのだが・・・。

 

陸上しかやってこなかった学生の将来が心配とも書かれているが、

陸上しかなかったからこれ1本で行かざるをえない学生だっているのではないだろうか?

 

試験を受けて大学に入り、真面目に勉強をした大学生が将来安泰な時代でもあるまいし・・・

 

ましてや、学生への利益供与策として本人に肖像権を管理させるとか、

「え?」としかいいようがない。

 

優勝チームインタビューです。

5区の選手は、出演にあたり金銭を要求。

金額が折り合わずインタビュー拒否のような事態は起こらないのだろうか!?

 

そもそも現状では青山学院や駒沢の選手くらいしかうまみがないと思う。

そうすれば今よりももっと格差が開くと思うのだが・・・

 

ましてや読売新聞・日テレの独占体制を打破するため、

放送は入札。DZANのような仕組みにするべきだとの提言も・・・。

 

多くの人が家にいて、のんびりしている時間に

無料の地上波で放送するからここまでのコンテンツになったと思うのだが・・・。

 

ジャーナリストというわりには、切り込み不足の内容だったなあ。

箱根駅伝は主催者と選手と応援する視聴者の物だと思う。