冬の朝 | 面目ない日記

面目ない日記

気が向いた時だけ綴ります 

子どもの頃、きんと冷えた朝は母の言葉に布団から飛び出した。
「お父さんが焚き火しよるよ」
家の前でもくもくと白い煙が上がる。
まだ、各戸でゴミを燃やすことが許されていた時代。
父は手をこすりながら木の枝や杉の葉を火に投じて、パチパチと小気味いい音をさせる。
たまに銀色のアルミホイルに包まれたイモが出てくることもある。
そんな冬のお楽しみの朝が好きだった。


 

数年前、ご近所さんから煙と火災の心配で苦情を受けた母が、昔と同じ感覚のままの父に往生していると聞いたけど、年寄りの焚き火の楽しみくらい残せないものか、とも思う。
まあ、いろいろと問題はあるのだけど、それにしてもねぇ。

 

同じ火を見つめていると、集う人の心が何となくわかる気がしてくるから不思議だ。