ご訪問ありがとうございます
いつもは他の医師の外来に通院中の
アラフォー男性患者さんが
受診できなかったから、と
とりあえずの薬の処方を希望し受診されました。
ポッチャリした体型で
HbA1cや血糖値も、もう少し改善したほうがよい状態だったので
私:「いつも診ている医師からも言われているでしょうが、減量が必要ですよね。なにか、運動とか食事とな工夫されてますか?」
患者さん:「そうですね。まあ、いろいろあって。」
私:「いろいろって、どんないろいろなんですか?」
患者さん:「趣味のために、この体型を維持しているんです。」
私:「肥満がデフォルトの趣味って、相撲ですか?でも、体脂肪が多いですよね。」
など、あれこれお聞きしていると
患者さん:「実は、コスプレしてて、この体型が必要なんです。」
私:「コスプレに肥満が必要って、どういうことですか?」…
さらによく話を聞いてみると
かわいい女性キャラクターのコスプレをするのが
趣味だそうです。
スマホには普段の姿とは、まるで別人の
バッチリメイク、カラフルなカツラに
ラブリーなコスチュームを着たコスプレイヤー。
いくつものショットが並んでいました。
斜め上から撮っていて、上目遣いの顔と胸までが映っています。
どれも「絶対これ!」というベストショットなんでしょうけど
写真だけ見たら、本当にかわいい女子にしか見えません。
私が目を白黒させながら
スマホの姿と実物とを見比べていると
患者さん:「けっこう、ファンがついてるんです。この胸の肉感を出すのはリアルじゃないとダメなんです。」
そりゃそうですよね。このクオリティ。
どれも、胸を両腕で挟んでギュッと寄せて
巨乳感満載です。
私「そうですか。偽物ではダメってことですね。ですが、血糖コントロールのために、その体型のままでは良くないので、担当医と相談しながら減量して、写真映えするギリギリのラインを見つけてください。」
患者さん「担当医の先生には、言ってません。この趣味。」
ええと…。初対面の診察室でカミングアウトですか。
もう診てもらうことはないからですかね。
私「担当医には言えないのなら、今ここでお話したことを早速実行してください。」
嗚呼、これまでの通院で
毎回、一生懸命、生活指導してきた
担当医のカルテへの記載が虚しかったです…。
その後もたまに外来で
その患者さんをお見かけしますが
写真映えするボディはキープしているようです。
医師と患者さんの、悲しいすれ違い…。