みなさん、夜はしっかり眠れていますか? カウンセリングをしていると、時期を問わず多いのが睡眠の悩み。とくにこの時期は、真夏の寝苦しい熱帯夜が原因で、その後もすっかり睡眠リズムが狂ってしまったり、夏休みなどの連続休暇の影響で生活リズムが乱れたことによって、“眠れない”ことに苦しむ人が増えていまいます。

「睡眠負債」ブームで"眠れない人々”の悩みに拍車

 

 

最近は、もっぱら良質な睡眠への注目が高まっています。書店で『一流の睡眠』、『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』『スタンフォード式最高の睡眠』といった“睡眠本”が平積みされているのを見たことがある人もいるでしょう。

キーワードとなっているのが、「睡眠負債」です。日々のわずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なることによって、命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げていると言われています。これが、眠れない人たちの悩みに拍車をかけています。

睡眠の時間や質を保っていくことは、確かに健康に不可欠だと思います。ただ、睡眠負債を作らないように「何としてでも眠らなければ」、という強迫観念を抱くことは、心に大きな負担をかけます。病気のリスクを心配して睡眠負債をためないように努力した結果、精神を病んでしまったら元も子もありません。

では、無理に「寝よう」することはどこが問題なのでしょうか。人は、副交感神経が優位になることで、眠りに入っていきます。一方、「寝よう、寝よう」と思うほど、緊張感が高まり交感神経が優位になり、眠りにつく状態からは遠ざかっていきます。

眠れないとき、せめて身体だけでも休めていようと、暗くした部屋で横になる人もいるでしょう。これも実はよくありません。夜、暗い中でじっとしていると、嫌なことを考え始める傾向があるのです。「悩み」「不安」「ストレスに感じていること」などが次々と浮かんできて、思考は負のスパイラルにはまっていきます。心配なことや、凄く嫌なことがあった日などはなおさらです。

特に夜の時間帯は、気持ちが敏感になりやすいもの。夜中に打ったメールや書いた手紙の内容をあとで見て、こんなに感情的になっていたのかと自分でびっくりすることはありませんか?

こうした状態を続けていると、自分の負の感情をもてあまし、必要以上に不安になり、心臓がどきどきする、呼吸が浅くなる、冷や汗が出るなどの心身の不調を招くことがあります。そしてしまいには「うつ状態」を引き起こしてしまうこともないとはいえません。明け方に自殺者が多いのは、このことと無関係ではありません。

また、お酒に頼るのも逆効果です。アルコールには確かに、「覚醒水準調節作用」といって、興奮している人には鎮静効果を、抑うつ状態の人には興奮効果を与える作用があります。したがって、気持ちが落ち着かずに眠れないときにアルコールを飲めば、ホッとできて寝つきがよくなる可能性はあるのです。時にはこの効果を利用するのもありだと思いますが、常に眠るためにお酒を飲むことは避けたいところです。

眠るために飲み続ければ深酒になり、睡眠の質を下げ、結果的には良い睡眠がとれません。アルコールは、摂取直後には眠気を催させる一方で、時間が経つと深い眠りを妨げ、中途覚醒を引き起こすことになるなど、睡眠の質を低下させるのです。

眠れないなら、起きてしまうのも1つの手

では、眠れぬ夜にはどうするのが適当なのでしょうか。私は、研修の受講者やクライアントに対して「眠れなくて苦しいなら、部屋を明るくして思い切って起きてしまいましょう」とお話しています。

食事を1〜2回抜いたり、時間をずらしたりしただけでは問題がないように、いくら睡眠負債が問題だからといって、数日眠れなかったことで急激な健康被害があるとは思えません。人間は生命維持のために、絶対に眠らざるを得ないわけですから、「必ずどこかで眠るので大丈夫」「眠くなったら寝る」くらいの、ラクな気持ちを持てるといいなと思います。眠れないことに対し、必要以上に罪悪感にとらわれることはありません。実際、そう思うことで「気が楽になって眠れるようになった」という感想をたくさんいただいています。

もちろん、どうしても寝付きにくい、眠れないことが習慣になってしまっているようであれば、医師に相談して自分に合う薬を処方してもらうことも考えましょう。

適切な睡眠時間には、個人差があります。さらには、年齢や活動量によっても変わってくるので、一概に何時間寝るのがいいとは言えません。朝早く起きてしまい、その後眠れないことに悩んでいる人が、実は十分に睡眠が足りている可能性も高いのです。

また、睡眠負債の健康リスクに関する学説も、今後変わってこないとはいえません。なにしろ、8年くらい前には「睡眠負債は取り戻せる」という真逆の論文が脚光をあびていたのですから。

秋の夜長、眠れなければ本を読んだり、動画を見たり、軽食を取ったり……と誰にも邪魔されない静かなひとときを過ごしてみましょう。気持ちのリセットにも大いに有効かと思います。

健康を害したらどうしようという気持ちが、眠ることへのプレッシャーになり、かえって健康を害してしまうことのないようにしたいですね。

 

 

 

 

眠れないとき、眠る努力は逆効果

 

毎日忙しい中、少しでも睡眠時間を取ろうと、眠くないけれど寝ようとがんばっていませんか?
もしかしたら、その努力が眠りの逆効果になっているかもしれません。

 

眠れないとき、布団の中でどのように過ごしていますか?

一生懸命に眠ろうと努力すればするほど、脳の活動性が高まり、ますます目が覚めてしまい、逆効果です。

また、眠れないからと、布団の中でTVを見たり、スマートフォンをいじったりすることもNGです。
布団の中で色々活動すると、「布団」が活動する場所となってしまい、眠る場所ではなくなってしまうからです。

眠れない時は?

眠れない時は、無理に眠ろうとするのではなく、「眠れたらOK」くらいの軽い気持ちを持ち、リラックスできるようなイメージを思い描きます。

または一度布団から出て、脳や交感神経系の活動が高まるような行動は控え、リラックスできるようなことをして、眠くなるまで布団に入らないようにします。

その際、明るい照明は覚醒度を高めますので、室内照明は明るくしないようにします。
読書する場合には、読書灯など手元だけ照らすことのできる部分照明がおすすめです。

その他、香りや音楽など、自分なりのリラックス方法を見つけることも大切です。

 

 

 

 

 

自律神経を整えるとはどういうこと?

自律神経は、血管をはじめ、あらゆる内臓器官を自分の意思とは無関係に調整してくれる神経です。呼吸器官や消化器官、体温調節機能といった、私たちの体の生命維持機能をコントロールする役割を担っています。

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられますが、基本的には人が起きて活動している時間帯は交感神経が、そしてリラックス時や夜に寝ている時間帯に副交感神経が優位になるといわれています。交感神経が優位な場合、血管が収縮して血圧が上昇し、心身が活動的な状態になります。そして、副交感神経が優位な場合は、血管が緩んで血圧が低下し、心身もリラックスした穏やかな状態になるのです。この交感神経と副交感神経が必要に応じて切り替わり、体内のバランスが保たれています。

自律神経が整っていればこの切り替えがスムーズにいきますが、乱れてしまうと切り替えがうまくいかなくなり、心身にさまざまな不調が現れます。つまり、自律神経を整えるということは、心身の健康を保つために、交感神経と副交感神経の切り替わりをスムーズにできる状態にすることだといえます。

日常生活の中で取り組みたい、自律神経を整える方法

ここからは、日常生活の中で取り組みたい、自律神経のバランスを整える方法をご紹介します。ただし、この方法を実践すれば自律神経が必ず整うというわけではないため、つらい症状が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。

朝起きたら日光を浴びる

朝起きたら、まずはカーテンを開けて日光を浴びる習慣をつけましょう。目から光の刺激を入れることで、体内では「セロトニン」が活性化されます。「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のセロトニンには、自律神経を整える働きがあるのです。また、陽射しをたっぷり浴びることで体内時計がリセットされ、体に活動と休息のリズムも生まれます。そのため、不眠などの症状にも効果的です。

軽い運動

適度な運動はストレス解消にもつながります。体を動かすことで心臓から血液が送り出され、セロトニンをはじめとした神経伝達物質が活性化し、爽快な気分になれるのです。急にハードな運動をすると逆に心身に負荷を与えてしまうリスクがあるため、まずは散歩やウォーキング、ヨガなど、無理のない範囲で体を動かすことがおすすめです。

毎日お風呂に浸かる

毎晩シャワーで済ませてしまっている方も少なくないと思いますが、夜にゆっくりとお風呂に浸かることで得られるメリットは多くあります。入浴のポイントは、ぬるめのお湯に入ること。36~40℃程度のお湯に浸かることで副交感神経が優位になり、心身がリラックスした状態になって質の良い睡眠にもつながります。逆に熱いお湯では交感神経が活発になってしまうので気を付けましょう。

良質な睡眠

良質な睡眠をとることは、自律神経のバランスを整えるにあたって重要です。副交感神経が働く睡眠時は、心身の疲れを解消し、細胞の修復も行われる大切な時間。就寝前はリラックスした状態で、できれば部屋は消灯した状態で眠りにつくことがおすすめです。

●就寝前のスマートフォンは控える
就寝前にスマートフォンを長時間見ることは、ブルーライトによってバイオリズムが乱れてしまうため、心身にストレスを与えてしまうとされています。そのため、就寝前はできるだけスマートフォンなどのデバイスは使用しないようにすることをおすすめします。また、スマートフォンを使用することによってたくさんの情報を受け取る生活は、心身の疲労の原因になるともいわれています。
●適度な昼寝
すでに自律神経が乱れがちで不眠に悩まされている場合、昼寝をしてみることもおすすめです。昼寝をするタイミングとしては、なるべく午後に15~30分程度が望ましいです。適度に昼寝をすることで副交感神経が働き、心身をリラックスした状態に導くため、自律神経を整えるのに効果的です。
注意したいのは、長時間寝ないようにすること。日中にたくさん寝てしまうと、夜、寝付きが悪くなる…という悪循環に陥ってしまうため、あくまで15~30分程度にとどめておきましょう。

食生活の改善

自律神経を整えるためには、食事も意識したいところ。ここでは、食生活のポイントをご紹介します。

●栄養バランスのとれた食事
日々の食事からとる栄養は、自律神経のバランスにも大きく関わってきます。特に積極的にとりたいのは、ビタミンやミネラルといった、普段の食事で不足しがちな栄養素。外食やインスタント食品中心の食生活になっている方は、栄養バランスを整えることを意識しましょう。
●セロトニンの生成に必要な栄養素をとる
「朝起きたら日光を浴びる」や「軽い運動」でも登場したセロトニン。セロトニンが多いほど、良質な睡眠をサポートするホルモン「メラトニン」の分泌を促進させます。そのため、メラトニンの分泌をスムーズに行えれば、良質な睡眠にもつながり自律神経のバランスを整えることができます。
そんなセロトニンは体内で貯蔵することができないため、食べ物からセロトニンを生成する栄養素を摂取することがポイント。必要となる栄養は、必須アミノ酸の「トリプトファン」のほか、「ビタミンB6」「炭水化物」の3つとなります。それぞれ、次のような食品に豊富に含まれています。

・トリプトファン…牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品や大豆製品
・ビタミンB6…カツオ、マグロなどの魚類、レバー、肉類
・炭水化物…白米やコーンフレークなどの穀類

なお、イワシからはトリプトファンとビタミンB6の両方をとることができます。また、バナナは3つの栄養素をすべて含んでいる食品なので、常にストックしておくといいでしょう。

腸内環境を整える

腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、ストレスや緊張などの精神的な影響を受けやすい器官です。便秘や下痢などによって腸が不調な状態ですと、副交感神経の働きが低下してしまいます。そうすると血管が収縮して血流も悪くなり、栄養が体のすみずみまで行き届かず、体調不良を引き起こしてしまうのです。
そのため、便秘や下痢の症状が出やすいという方は、次のような腸活を生活習慣に取り入れてみるのがおすすめです。

  • ●朝起きたらコップ1杯の水を飲む
  • ●ストレッチで腸を活性化させる
  • ●食物繊維や乳酸菌を積極的にとる食生活
  • ●夕食を食べてから3時間は消化時間にあて、リラックスすることで交感神経の働きを落ち着かせる

首を温める

冷えや疲労感も自律神経の乱れによるおもな症状ですが、自律神経の機能を高めるためには、首を温めることが効果的。首には太い血管が通っているため、温めることで全身の血流が良くなり、冷えや疲れも解消されやすくなります。血流が良くなることで首や肩のこりをほぐすことも期待できるでしょう。首を温めることは副交感神経の活性化にもつながるため、心身をリラックス状態に持っていきやすくなります。

首を温める方法としては、ホットタオルや温熱シートの使用がおすすめです。首元と合わせて、目元も温めるのが◎。温めるタイミングは、日中に疲れを感じたときや、就寝30分前がいいでしょう。

 

 

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