私の大好きな山野草、ヒトリシズカをドライフラワーにして、レジンに閉じ込めたいと思い、採取をしに山に行ってきました。
ここ丹沢ではそれほど珍しい植物ではありませんが、灌木の下などに生えていて、しかも小さいので、気を付けて歩かないと気がつかないかもしれませんね。
「シズカ」 とは静御前のことで、清楚で可憐な立ち姿からその名前が付けられたそうです。
ヒトリは一人で、一本で立っているという意味ですが、「一人静」 という言葉の響きがさみしさを感じさせて、いいネーミングだと思いますね。
いつも写真を撮りに行くところにはたくさんの株があって、あちらでもこちらでもかわいらしい姿で目を楽しませてくれます。
私のポリシーは植物与えるダメージを最小限に抑えて採取する、ですので(当然のことですが)、広い範囲を探しながら、できるだけ大きな株をえらび、ひとつの株から少しずつ花を切って採取しています。
山野草の多くは宿根草で、毎年少しずつ株が大きくなっていきます。
ヒトリシズカは地下茎で殖えますから、写真のように一ヶ所からたくさん生えているのが大きな株です。
採取した花はその場で、この製法独特の資材である埋設材に埋めます。
ここで注意しなければいけないのは、そのままの姿のままで埋設する、ということです。
埋設した時の姿でドライフラワーになりますから、乱雑に埋設をしてしまいますと、花びらの形や葉っぱの向きなどが変形してしまい、その変形した姿でドライフラワーになってしまいます。
ですので埋設材で埋める作業はとても神経を使います。
こうして持ち帰ることで、花や葉、茎が移動中に傷むことを防ぐことができますし、植物の周囲の酸素が極端に少なくなりますから、生長ホルモンであるエチレンの生成が抑制されることで植物が休眠状態になり、それによって採取したあとの劣化を抑えることができるのです。
もちろんできるだけ早く乾燥材と一緒に仕込むことが大切です。
余談ですが、みなさんお花屋さんで切り花を買った時に、持ち歩く際には花束を下に向けていますよね? そうすると傷みにくい、と聞いたことがあるかもしれませんが、これは科学的根拠のあることで、植物は逆さにしますと、生長ホルモンのエチレンの生成が抑制されるのだそうです。
その結果として、花が長持ちするわけですね。
エチレンの生成を抑制する成分は、切り花を長持ちさせる薬剤にも含まれています。
春の山はとてもにぎやかで元気です。
花の写真を撮ってきましたので、みなさんにも楽しんでいただきましょう。
ニリンソウ
可憐で美しい花です
キランソウ
私はシソ科の花が大好き
ミミガタテンナンショウ
丹沢に限らず、いたるところで見ますね
シュンラン
もうすぐ今年の見納めです
アブラチャン
山に自生する桜
私の苦手な冬が終わりを告げ、早春になりますと、山では命があふれ出てきます。
野を歩き、雑木林を歩き、山を歩いていますと、無数の植物の凱歌を聴くようです。 私にとりまして一年の始まりは、正月ではなく早春なのです。
今年もまた、たくさんの花に出会えるといいな。