米国の衰退、中国の興隆と経済停滞、ウクライナ戦争やイラン空爆など、
次々と国際情勢の予測が的中する
超一流の国際政治アナリストの北野幸伯氏の最新刊
『新版 日本の地政学』 育鵬社 2025年7月1日
をご本人から頂き拝読した。
(以下Amazonより商品案内欄より転載)
ロシアによるウクライナ侵攻以来、世界は「弱肉強食の世界」に回帰した。
「トランプ関税」は、米中覇権戦争の激化を予見するとともに米国の変質を露呈した。
本書はモスクワ滞在28年、ロシアの政治経済、プーチン的思考を熟知した国際関係アナリストが、
激変する国際情勢の中で、日本が生き残り繁栄するための道筋を、
最新の国際情勢と地政学を基に解き明かす。
『日本の地政学』(2020年刊)の改訂新版。歴史に学ぶ勝利の法則とは。
(転載終了)
2020年に発売され大ヒットした『日本の地政学』を
最新の国際情勢に合わせて全面的に改定させた内容である。
今回の本ではタイトルにある通り地政学
(その国の地理的な条件から他国との関係性や
国際社会での行動を考える)
の観点から現在の国際情勢の分析と
日本の今後の取るべき進路が書かれている。
北野氏は代表的な地政学者であるマッキンダー、
マハン、スパイクマンなどの理論を紹介しながら分析をしていく。
以下がこの本で紹介されている地政学的概念である。
・世界島(ユーラシア大陸とアフリカを指す。世界島は圧倒的な人口と生産力をもつため、ここを支配した勢力が世界を支配すると20世紀前半の地政学者マッキンダーは述べた)
・ハートランド(ユーラシア大陸の中心に位置し、かつ後背地を持たない部分。ロシア帝国・旧ソ連、現在はロシアの地域)
・リムランド(ユーラシア大陸のハートランドの周辺に広がる地域。中国、インド、欧州、中東など)
・外周ないし島嶼性(とうしょせい)の半月弧(リムランドのさらに外側にある国々。イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本など)
・ランドパワー(大陸諸国の事。中国、ロシア、ドイツ、インド、中東諸国など)
・シーパワー(海洋勢力の事。アメリカ、日本、イギリス、オーストラリアなど)
一見難しそうに感じる方もいるかもしれないが、北野氏はこれらの地政学的概念を交えて
とても分かりやすく各国の置かれた状況や戦略を解説してくれている。
特に興味深いのがシーパワー(海洋国家)に属する日本などの島国が持つ「水の抑止力」という概念だろう。
島国は、大陸諸国と違い、海という天然の防壁が存在するので侵略されにくい。
それは日本が第二次大戦の米軍の占領まで外国にほどんど侵略されなかったことや
戦争ばかりしていたイギリスも、殆ど侵略されてこなかったことを事例として挙げている。
一方で島国には不利な面も存在する。
島国は大陸から攻撃されにくい一方で、大陸への攻撃も行いにくい。
そのため、イギリスは圧倒的な技術力・軍事力の差があったアジア・アフリカ諸国を侵略したが、技術力・軍事力の差がない欧州大陸には領土を持たなかった。
日本が第二次大戦で壊滅した理由は、シーパワーとしての分をわきまえず、ランドパワーにもなろうとアジア大陸の奥深くにまで侵略してしまったことにあるという。
つまり戦線を拡大しすぎたということだ。
「水の抑止力」がある日本は、中国本土のみならず、満州も、朝鮮半島も侵略する必要が無かった。米国や英国との同盟が機能していれば、ロシア帝国に侵略される脅威などなかったと北野氏は述べる。
これは、ランドパワーであるドイツ帝国が、世界最強の軍事生産力を持つにもかかわらず、シーパワーにもなろうとして、世界大戦を引き起こし、結局、イギリスと米国に破れてしまったことと同じである。
地政学的な分と条件をわきまえない戦略は、国家を破滅させかねない。
イギリスや米国が勝利してきたのは、自らの地政学的な状況を十分に理解し、シーパワーとしての力を最大限発揮してきたためであるという。
(そう考えるとシーパワーとしての成長を最大限に抑制した江戸時代の
200年以上に及ぶ鎖国は、国家の成長として考えた場合、最悪の政策だったと言える。)
もう一つ国家戦略で重要なのが、同盟戦略である。
第一次世界大戦のイギリスは世界最強の軍隊を持つドイツに対して、
ロシア、フランス、米国、日本などと組み、ドイツ帝国を包囲し勝利した。
第二次大戦のときも、強力なナチス・ドイツと日本帝国に対して、ソ連、米国、中国などと連携し、壊滅させることに成功した。
イギリスは短期的な勝利を重視する戦術面よりも、長期的な勝利を重視する戦略面を構築するのが上手いという事だ。
逆にドイツや日本は短期的な結果を出す戦術面では優れていたが、長期的な結果をだす戦略面に失敗したので、最終的に完敗したのである。
興味深かったのは、p123で紹介されている政治学者ルトワック以下の言葉である。
「ドイツの戦略面での無能さ(それは戦術面での天才とともに現れることが多いが)は、国家の破滅的な失敗を引き起こす必須条件であった。これはその傲慢さから始まったのであり」
※下線は天野
短期的な結果をもたらす戦術面での天才が、長期的な結果をもたらす戦略面での無能さを引き出してしまう、という。
戦術面の天才がもたらす短期的な勝利の連続は「傲慢さ」を作り出しやすい。
「傲慢さ」は、知的謙虚さを失わせ、自信過剰になり、無謀な戦略をとらせるため、長期的には自滅しやすいという事だ。
歴史を見れば、ナポレオン、ヒトラーなど、短期的には大成功を収めた戦術的天才が、長期的には大失敗に終わった。なかなか鋭い言葉である。
現在、以前のドイツや日本と同じ状況に陥っているのはプーチン・ロシアだという。
プーチン・ロシアはウクライナのいくつかの州を征服しており、戦術面では成功しているように見える。
しかしウクライナ侵略によって国際法を犯した侵略国家として世界中で認知されてしまい、国内外で大きく信用を失墜させている。
その結果、膨大な人命的損失を始めとして、ウクライナ侵略前に持っていた国際貿易、旧ソ連諸国をはじめとした国際的な影響力を大きく減らしている、という。
また「自国ファーストを掲げるトランプ政権の誕生によって、混乱する米国と西側同盟国の現状や
世界を二極する超大国の米国と中国の覇権戦争の裏で、徐々に台頭するインドの立ち位置についても解説されている。
このような地政学的リアリズムの観点から、世界情勢を分析し、
日本が今後、どのようにすれば現在の米国の従属国家から
自立した国家として独り立ちし、国家運営を行っていけばいいかを示してくれている。
P249から転載
日本の自立とは、「精神の自立」「経済の自立」「食料の自立」「エネルギーの自立」「軍事の自立」を成し遂げることである。
p250から転載
独裁ランドパワー同盟が勝利すれば、世界から民主主義、人権、自由は消滅する。だから日本は、「民主シーパワー同盟」を守ることで、世界を救わなければならない。
日本が上記の自立を達成し、独立国家となり、世界の民主主義同盟の中心になるべき、
という北野氏の見解には大賛成である。
このような北野氏の様々な意見に納得する一方で、以下のような疑問も持った。
これは2019年に出版された北野氏の本の感想でも述べたことだが再度添付する。
ロシア政治経済ジャーナルの北野幸伯氏の新著『米中覇権戦争の行方』の感想 正確な現状認識を促す力作 天野統康のブログ 2019年11月15日 より転載 赤文字は今回付け足し。
・北野氏は今後の中国の経済の衰退を日本のバブル崩壊後の経済停滞を事例にして、国家サイクル論(移行期→成長期→成熟期→衰退期)から必然的な流れとして語っている。
既に成熟期に入った中国は今後衰退期に入り、日本経済と同じく停滞するのが必然だという。
しかし日本のバブル崩壊後の失われた30年は世界的に見ても例外的な事例である。
この30年間の日本の経済成長率は、同じように成熟した先進資本主義である欧米諸国と比べても圧倒的に低く世界最低だった。
経済成長率が世界最低という例外的事例であるバブル崩壊後の日本を普遍的な事例として引き合いにだし、今後の中国経済は大失速すると述べるのは適当ではない。
確かに国家サイクル論は長期に渡る経済成長の特徴を表す理論としては有効だ。
しかし今後の中国経済の成長率が日本のバブル崩壊後のように世界最低水準に落ち込む可能性は低いと思う。80年代までジャパン・アズ・ナンバーワンと言われていた日本経済が世界最低の経済成長率になってしまった原因については、日本の特殊な状況を考慮しなければならない。それは、日本が米国の植民地的属国であり、そのもとで経済成長の必要条件である実体経済向けの信用創造量の伸びを低く管理されてきたためだ(今回の北野氏の本では、増税と緊縮財政のため)。
全国に米軍基地が張り巡らされている日本と違い、中国は他国の軍事基地が国内に一つもない独立国家であり、実体経済向け信用創造量は政治の管理下にある中央銀行が完全に管理している。
そのために日本のように「他国」が意図的に政治経済の政策に関与し経済成長率を低くコントロールすることは不可能である。また中国人は一人あたりのGDPが低く、豊かになる欲求も消費の伸びしろも強い。一人あたりのGDPが世界の上位に入るくらいまでは経済成長するインセンティブは強烈に働き続けるだろう。中国の衰退を経済の国家サイクル論から必然的なものだと語ると、今後の中国経済の潜在力を過小評価することになる。
・北野氏は日本が米国から自立を指向し日米同盟が衰弱すると、中国が尖閣諸島及び沖縄を侵略すると述べている。しかし、中国がそのような軍事行動をとれば、日本は再度米国との同盟の必要性を痛感し、日米同盟の再考をするようになる。中国にとって一番嫌なのは、北野氏が述べているように日米が結束して各国に働きかけ中国包囲網を作り上げることだ。せっかく日米が分離してくれたのに、日本を侵略することで再度、日米同盟を構築させる事になることなど中国が行うだろうか?また尖閣はともかく沖縄の侵略となれば、日本は総力をあげて中国と戦争をするようになり中国にも少なからぬ被害が生じる。またそのような行為をする中国のむき出しの覇権主義に対する世界からの批判は避けられない。欧米を含む世界の国々から経済制裁が行われるだろう。それだけの戦争を行うメリットが沖縄の侵略にあるだろうか?それよりも衰退していく日本は放っておけばよく、広大な領土と人口を持つ自国の発展に専念すれば必然的に中国は世界一の超大国になれる。実際、歴代の中国王朝はモンゴル帝国以外は日本のような島国を侵略しようとはせず、広大で豊かな自国の開発に専念していた。こういう条件から日米軍事同盟がなくなれば直ちに沖縄と尖閣が中国に侵略されるというのは疑問である。
・米中覇権戦争の勝利の条件は中国が民主化した時だ、と北野氏は述べている。しかし、民主化したからといって覇権争いは無くなるものだろうか?例えばロシアはソ連崩壊後、一応は民主化したが欧米との争いが絶えない。中国が民主化しても米国との争いが無くなるという事は断言できないだろう。なぜなら米国はユダヤ系財閥とフリーメイソン最上層部が管理してきた国家であり、その理念と方向性と衝突するかどうかが民主主義か独裁かよりも重要なのだ。独裁でも米国の覇権を認める場合はサウジアラビアや中東産油国のように対立はない。一方、民主主義であってもロシア(2021年のウクライナ戦争以前のロシア)のように米国の覇権を認めず対抗しようとする国には様々な謀略をしかけていく。このような性質を見れば、民主化=米中対立の終わりとはいえないのでは?
(転載終了)
他にも民主シーパワー同盟の構築に関して、「民主」というところの中身が問題である。
独裁的、強権的な国家だから必ずしも悪であり、民主的だから必ずしも善ではない。
例えば、ブッシュJr政権時代の米国、ネタニヤフ政権のイスラエルは民主主義だが、様々な極悪な政策を行ってきた。
独裁国だろうが民主国だろうが、国際法を無視した覇権主義や人道無視の政策がいけないのであり、その時の政策に関して是々非々で対処していくべきだろう。
その点でBRICSなどは、独裁や民主などの体制にこだわらない国際組織であり、一つの見本ではある。
また北野氏が述べているように、極めて不十分とはいえ戦後は国連が国際法と国際社会の秩序の役割を果たしてきた。5か国の常任理事国がもつ拒否権のような特権をなくすなどの改革をすることが、体制を超えた結束をつくりだすかもしれない。
私は西側を中心とした自由民主制は、国際的な秘密結社権力(ユダヤ・カバラ神秘学派の財閥群とフリーメイソン最上層部を中心とした連合体)による管理という深刻な病を抱えているのであり、その病を克服することが第一だと考えている。
その病を治しながら、真の民主主義を実現させて、民主主義国を中心とした国際社会の新秩序を作り上げていく事が理想である。
以上、長々と疑問点とそれに対する私の考えを述べたが、今回ご紹介した北野氏の本は、地政学の観点から世界情勢の流れを根本から理解できる必読書である。
適切な情報をえることで様々な思考をすることが可能になる。
正確な世界の現状認識をお持ちになりたい方は是非、お読みください!
ロシア、日本、世界の真実を知りたい方は、
北野先生の以下のメルマガに登録しましょう(登録もメール配信も共に無料)。
無料で、最新の国際情勢に関する一流の分析が届きます。
↓
<リンク>メルマガ 「ロシア政治経済ジャーナル(RPE)」 北野幸伯
更に北野幸伯氏のより詳細で体系的な国際情勢の分析を知りたい方はこちらをご覧ください。
↓
(記事終了)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
■天野統康の新講座
なぜ、政治から通貨発行権が分離させられてきたのか?
その歴史的な経緯と仕組みについて詳しく知りたい方は、ネット販売大手のダイレクト出版と共同制作をした以下の講座をご覧ください。
↓
<リンク>「THE KINGMAKER」〜上巻・円の支配者 編〜
なぜ、全市民の権利の平等と自由を掲げる議会制民主主義が、国際的な秘密結社権力(世にいうディープステート)によって操作され、管理されてきたのか?
その歴史的な経緯と仕組みについて詳しく知りたい方は、ネット販売大手のダイレクト出版と共同制作をした以下の講座をご覧ください。
↓
<リンク>【THE KINGMAKER」~下巻・フリーメイソン 秘密結社の教え編~
この講座について、作家・国際関係アナリストとして大活躍中の北野幸伯先生から次のような推薦動画を頂きました。
↓
https://youtu.be/q3q9g86Qy3o?si=OIVxxZiFkjtFBRSz
■天野統康の著書
・著名な国際アナリスト・作家の北野幸伯先生から頂いた書評
↓
「真の民主主義・資本主義とは何か、誰も知りません。世界で唯一、それを提示しているのが天野先生です。」
・作家・ジャーナリストの船瀬俊介先生から頂いた書評
↓
「経済と政治を知るには、これ一冊で十分だ!」
購入・試し読みはこちらから
↓
<リンク>Amazon.co.jp: フリーメイソン最上層部により隠されてきた民主主義の真の原理 図解で解明する、その光と闇の全容 : 天野 統康
※今年中に出版予定の次回作については、こちらで140点の原画を記載しています。
↓
<リンク>新刊の原稿の原画をイラストレーターの方に提出 その140点の原画を公開 天野統康のブログ 2025年6月30日
■amanomotoyasuのTwitter→https://twitter.com/amanomotoyasu
■天野統康のフェイスブック→https://www.facebook.com/motoyasu.amano
■Youtube→https://www.youtube.com/user/07amano/featured?disable_polymer=1
■寄付・支援のお願い
当ブログでは真の民主社会を創るために必要な 情報発信や研究などの活動を行っています。
独立して活動をするには、時間や労力、お金がかかります。
是非、皆様のご支援をお願いいたします。
・みずほ銀行
・立川支店
・預金種目:普通
・口座番号:2478209
・口座名:アマノ モトヤス
※入金されたお金のご返金は原則としてできません
■日本に民主革命を起こす「国民発議プロジェクト」のご紹介
世論を無視して悪政を行う国会や内閣の暴走を止めるには、そのための制度が必要です。
一定数の署名と国民投票で、不要な悪法・政策を廃案し、かつ必要な法案・政策を実現できるのが直接民主制に基づく国民発議制度です。
↓
<リンク>INIT 国民発議プロジェクト | 私たちに「拒否権」「発議権」「決定権」を! (init-jp.info)
■STOP!新型コロナ・ワクチン
■借金漬けの資本主義経済を変革する「公共貨幣フォーラム」
資本主義の最大の特徴である債務貨幣(銀行業による貨幣創造)を逓減させ、政治が貨幣を発行することで社会を債務(借金)漬けから解放する公共貨幣。
この公共貨幣の導入を目指すのが公共貨幣フォーラムです。
↓
<リンク>公共貨幣フォーラム - connpass








