双子の姉を事件で失い、

犯人逮捕を誓った二宮。

情報提供者 通称エスも

何者かに殺害される。

『次は、俺か・・・?二宮刑事』

若頭×刑事(潜入捜査官)のお話。


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side N











──── 俺は必ず捕まえるよ。


             姉さんを殺した奴を。

              

                     必ず…っ!      ────






5年前の6月10日。


あの日も曇天で、


今にも雨が降りそうな天気だった。




『Saki Ninomiya』



そう刻まれた墓の前で


手を合わす。


咲希は俺の双子の姉。


生きていれば、


彼女は結婚して、


いずれ母になって・・・



幸せになるはずだった。







『私…結婚することになった。』


姉さんから久しぶりの電話。



「え、なんで他人事なの?

…姉さんのことだろ?」



と言ったのを覚えてる。


いつもの、


強気な彼女らしくなかったから。


『そうだけど…。』


「結婚式、いつ?」


『…6月17日。でも、かず…忙しいよね』


「絶対行くから。俺たちの誕生日も祝おうよ。ね?」


『ふふっ…そうね』


「姉さん…結婚おめでと」


『ありがと』


その会話が最後だった。





結婚式を一週間後に控えた、


6月10日。


彼女は、


この世を去った。


挙式準備の帰りに


拳銃で撃たれて。




「じゃ。また来るね、姉さん」



そう言って俺は


シロツメクサの冠を置き


その場を後にした。





しばらく歩き、


車に乗ろうとしたら


ジャケットの中でスマホが鳴る。


「…はい。」


『今から来い。』


「…情報?」


『ふっ。俺が何もなしに呼ぶと?』


「…30分後。」


『あぁ。』




直ぐに切れる電話。


行き先を自宅から変更して


車を走らせた。




俺は、警視庁組織犯罪対策第五課


通称 「組対5課」の刑事だ。


主に拳銃の密売情報を得て、


拳銃押収に繋げるのが役目。


捜査方法は『エス工作』。


『エス』は情報提供者を指し、


この協力者を使い情報収集していく。



電話の相手は、


今の俺の『エス』


暴力団・東(アズマ)組の若頭、


『大野 智』だった。