はじめまして!!

先週の永山Drから指名頂きました。

川崎幸病院研修医2年目の小串佑太と申します。

 

奄美に来て早2週間。気づけば研修期間の半分が過ぎていました。

この蒸し暑さも、綺麗な海も、みんなと飲めるとお酒も、平島先生のテンション高い講義も、あと半分かと思うともう寂しくなってきました。

 

毎日太陽は登って沈んでいきますが、こんなサンセットはなかなか忘れないだろうなって思います。

 

 

自己紹介が遅れて申し訳ありません。

小串佑太27歳です。出身は福岡県。三人兄弟の長男をしております。

血液型はA型、趣味はゴルフ・映画観賞・たまに料理、、、

 

ってそんなことどうでもいいですよね?(笑)

 

 

人は見た目が9割という本がありますが、僕の第一印象は9割の人が同じみたいです。(笑)

 

それは、

 

「黒い。」

 

「腹黒い」ではないと信じていますが、とにかく「黒い」らいしいです。

あだ名も「焦げパン」「チョコベビー」など黒にちなんで付けていただいてます。

 

今でこそ黒さはアイデンティティかなと少しは思うようになりましたが、思春期の頃はなぜ自分は黒いのかと頭悩ませていた時期もあります。

では突然ですがこちらのグラフをご覧ください。

 

                                                      出典(母)

いつ黒くなったのかが知りたくて母から昔取り寄せた写真達です。今回、いつ黒くなったのか知りたくてグラフ化しました。

うん。あまり面白い変化もなく徐々にですね。小学生高学年~中学1年生で黒くなったようです。この頃は校庭で遊んだり、釣りしたりとよく外で遊んでいました。

 

そんな僕ですが奄美に来てあまり黒いと言われなくなりました。確かに奄美の方は健康的に日焼けしていらっしゃる方が多いです。まさかのマジョリティー。アイデンティティは??ってなっています。

 

まだ2週間ありますし、そちらはゆっくり新たな自分を探しにいくとします。

 

 

 

 

さて、今日は僕が一番気になっていたテーマでもありますが

紫外線と皮膚癌についてです。

中学生の頃は母に日焼け止めを塗るように口うるさく言われていました。「そんなに焼けると将来皮膚癌になるよ」そう周りに言われたこともあります。

 

Q.そもそもなぜ人は黒くなるの?

これは皮膚の断面です。

 

 

皮膚は人体で最大の臓器と呼ばれますが、表皮と真皮に分かれており狭い範囲に様々な構造物がひしめいています。

今回の主役はメラノサイトと呼ばれる細胞です。

メラノサイトは外肺葉由来の遊走性・樹枝状の細胞で基底層と毛母に存在します。メラノサイト内でメラニンが生産されメラノソームと呼ばれる小胞に蓄えられます。

 

日焼けのメカニズムは

①    紫外線が皮膚へ侵入

②    メラノサイトが活性化されメラニンを産生

③    メラノサイト内のメラノソーム(小胞)へメラニンが蓄積

④    ケラチノサイト(表皮細胞)へメラノサイトが運ばれる

⑤    ケラチノサイトの核を守る

⑥    表面から見ると黒く見える

日焼けとは紫外線から細胞内のDNAを守るために、人体が行っている防御反応とも言えます。

 

Q.日焼けは悪いことなのか?

紫外線が皮膚に与えるいい面・悪い面をまとめてみました。

メリット

VitD産生・セロトニン産生・生活リズムを整える

デメリット

光老化・DNA損傷・免疫力低下・皮膚癌・角膜炎・白内障

 

紫外線にはデメリットだけではなくメリットもあります。

メリットとして、VitDの産生に関与し骨形成を促します。また、気分安定ややる気に関わるホルモンであるセロトニン分泌を促進します。

さらに、生活リズムを整える作用もあります。

 

しかし、デメリットはやはり多く目につきます。特にという言葉に恐怖を感じる方も多いのではないでしょうか?

光老化とは日焼けにより皮膚の細胞膜が傷つけられ長年にわたり強い光を浴び続けると、皮膚の弾力が失われ、シミ・シワ・イボが生じることを言います。この光老化はがん発症要因と考えられており、さらに紫外線による直接的なDNA損傷や免疫力低下もがん発症の要因とされています。

紫外線により皮膚に好発するがんは基底細胞癌・有棘細胞癌・黒色表皮腫(メラノーマ)で高齢者に好発します。このことからも紫外線の生涯浴びる紫外線量が発癌に関係すると考えられています。

 

Q.そもそも皮膚癌とは?

ここでは紫外線との関係がある基底細胞癌・有棘細胞癌・黒色表皮腫(メラノーマ)の中でも、最も頻度が高いと言われる基底細胞癌について書きます。

基底細胞癌とは表皮の最下層にある基底層や毛包から発生する癌です。多くは高齢者の顔面(80%)に生じ、顔面でも正中部に発生しやすいという特徴があります。

皮膚癌全体の24%を占めていて、罹患率は10万人に約4人です。転移は稀(0.5%)であり基本的に予後は良好ですが、治療しない場合は正常組織を破壊しながら深部へと浸潤するため、早期の手術で十分な切除が重要です。治療は基本的には外科的切除を行いますが、転移例には放射線療法・化学療法を行うこともあります。

 

Q.皮膚癌の予防は可能か?

僕の母が毎日のように言っていた日焼け止め果たして効果があるんでしょうか。

 

人間の皮膚は6つのスキンタイプに分れられ、そのタイプによって紫外線の影響が異なります。

                                                環境省Hpより

サンタンとは紫外線によりメラニンが増加し肌の色が黒くなることです。

 

これを見ると地黒とはスキンタイプⅣ以上のことを言っているのでしょうか。僕は日焼けをしても赤くなりにくく、皮が剥けず、黒いままなないのでⅤのようです。

東北大学の研究チームでは日焼けのしやすさと肌の色の決定に関連する遺伝子解析がなされています。この研究では7つの日焼け・白肌を決定する遺伝子が同定されました。その中で日本人のスキンタイプに最も影響を与える遺伝子はOCA2遺伝子で、この遺伝子は皮膚癌の発症しやすさに影響を与えます。このことから、スキンタイプによって紫外線の予防が皮膚癌の個別化予防につながるとしています。

 

またオーストラリアでの大規模介入研究では有棘細胞がん・基底細胞がん双方において日焼け止めによる罹患率の減少が示されています。

しかし、オーストラリアの罹患率は日本と比較しかなり高くスキンタイプも異なるため、この結果がそのまま日本人に当てはめて考えることはできません。皮膚悪性腫瘍ガイドラインでは色白でサンタンを起こしやすいタイプの人には日焼け止めが有効の可能性があるとしています。

 

 

ここまで自分のテーマであったなぜ自分が黒いのか、紫外線と皮膚癌の関係に関して調べた内容を長々と書いてしまいました。

 

まとめると

・皮膚癌の発癌に関係する因子として生涯浴びる紫外線量(環境要因)と遺伝子(内因性要因)がある。

・スキンタイプによって発癌率は異なりスキンタイプⅡについては紫外線を避けることで皮膚癌罹患率の減少が見込まれる。

・エビデンスとして強くはないが、無駄な紫外線は避ける(サンスクリーン・日焼け止め)ことが勧められる。

 

以上の結論として、「僕の場合はスキンタイプⅣ・Ⅴであり日焼け止めの皮膚癌予防のエビデンスはないものの、将来の皮膚障害予防のためにも無駄な紫外線は避ける。」

 

「日焼け止め塗りなさい!」ってことですね。母は偉大でした。

 

季節は夏です。紫外線暴露の機会が多いと思いますので、今後はしっかりと日焼け対策していこうと思います。

では次は高身長色白イケメン星野Drにお願いします。

残り少ない奄美研修ですが悔いが残らないよう楽しんでいきたいと思います。

 

長々と読んでいただきありがとうございました。

 

                                                 川崎幸病院研修医2年目 小串 佑太