はじめまして

神奈川県の聖マリアンナ医科大学病院から来ました木村紗衣です。

奄美大島の海はどこに行ってもとても綺麗で、神奈川よりも早く来た夏にわくわくする毎日です。

 

 

土盛海岸の朝焼け

 

打田原ビーチ

 

ばしゃ山村のレストラン

 

大浜海岸の夕焼け

ここでプロポーズされたい。最高のロケーションです。

 

さてさて、奄美大島は6月でも30度以上の真夏日が多いです。梅雨明け前後の湿度も気温も高い日が熱中症の発生リスクが最も高いと言われています。

スポーツをされる方もこまめな水分補給を心がけているのではないかと思います。今回は、実際にどんな点に気をつけていけばいいかのお話です。

 

熱中症の分類は2015年に改定され、厚生労働省発表の熱中症診療ガイドラインによれば、「暑熱による諸症状を呈するもののうちで、他の原因疾患を除外したものを熱中症と診断する」とされています。

 

熱中症の重症度はⅠ〜Ⅲ度で分類され、先述した暑熱による諸症状は以下の通りです

Ⅰ度は意識障害はなく、めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、筋硬直を認めます。

Ⅱ度はJCS1の意識障害が出現、または頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感を認めます。

Ⅲ度は中枢神経症状(JCS2以上の意識障害または小脳症状、痙攣発作)、肝・腎機能障害、血液凝固以上(急性期DIC診断基準を満たすもの)の3つのうちいずれか1つ以上を認めます。

 

で、実際どうしたらいいの?(・・?)

 

表1. 成分

 

飲料の内容は「0.1~0.2%の食塩水」がよいと言われています。表1の通りポカリスウェットは0.12%、OS-1は0.29%であり適度な濃度です。スポーツドリンクは糖分が多いものが多くケトアシドーシスを来たしやすいため、大量摂取には不向きという考え方もあります。汗はしょっぱいからナトリウムを多く含んでいるんじゃないの?と思われがちですが、ヒトは自分の体液よりも浸透圧の高いものを飲むことができないので、口に入れられる時点で既に自分の体液よりも低張であるということです。

 

一方飲む量は「喉の乾きに応じて飲むのが良い」とされています。以前よりマラソンランナーの低ナトリウム血症とそれに伴う合併症は知られていました。Noakesらの報告によればレースに参加した選手の7.3%に低ナトリウム血症を認め、さらに体重増加度と低ナトリウム血症の発症率は比例することが示されました。レース中は代謝水の産生、ADHの相対的過剰分泌により低ナトリウム血症を来しやすいとされています。そのため、マラソン学会の報告では運動前後に体重を測定し、レースの際には「体重減少が 2% を越えない量の水分摂取」が推奨されています。

 

今回は熱中症対策として喉が乾いた分だけ糖分の少ない経口補水液を飲むというお話でした。

 

次回は藤沢徳洲会病院から来ている黒坂祐太先生です!

 

 

 

【参考文献】

1)日本救急医学会 熱中症ガイドライン2015

2)ランニング学会 マラソンレース中の適切な水分補給について

3)Noakes TD, et al. Proc Natl Acad Sci USA 102:19550-18555,2005

4)柴垣有吾著 より理解を深める!体液電解質異常と輸液〈3版〉