皆さん初めまして!千葉県にある総合病院国保旭中央病院から来ました、初期研修医二年目の野﨑と申します。

 

私は初期研修が始まる直前、2018年3月にも奄美にきて名瀬徳洲会病院で一週間程実習をさせて頂いたことがあり、実は今回が2回目の奄美来訪となります。

 

 

これは当時、喜界島にて撮った写真です。今はこんなジャンプしたらハムストリングスが断裂してしまいそうですねー。

 

 

これは有名な金作原 原生林での一枚。あふれ出る南国感がビシビシ伝わってきますねー。

 

偶然、本年度より当院と名瀬徳洲会病院の繋がりができ、縁あって再びこの地を踏むことができました。私の初期研修は奄美に始まり、奄美に終わることになるわけです。うーん、これまたエモい!さて、こんなに奄美でお世話になっているわけですが、何故こんなに奄美に興味があるのかというと、私も奄美と同様、離島出身だからです。

 

その島とは・・・。

 

 

 

 

新潟県、佐渡島!!!

 

 

 

ちょっとスタイリッシュな写真を!!!

 

 

 

朱鷺とか、

 

 

金山なんかが有名な島です!

 

 

 

コメも!

 

 

 

魚も!

 

 

 

日本酒もうまい!

 

いい所いっぱいの島なのです。みんな佐渡に来いっちゃ!※佐渡弁です

 

はい、佐渡のコマーシャルはこの辺にしときましょう。

佐渡は荒波厳しい日本海に浮かんでおり、奄美のように亜熱帯な感じは全くありませんが、人口は約5万人と奄美と同程度です。若者が少なく、超高齢化社会という所も同様です。将来的には地元の佐渡に帰って医療に従事したいと考えており、他の島の医療も勉強したいと思い奄美へと足を運びました。諸事情で3週間とやや短めの滞在になってしまいますが、自分の将来に活かせるようしっかり奄美の医療を勉強して帰りたいと思います。

 

 

さてさて、本題の前にもう一つ。奄美でのoffをどう過ごしているかも紹介していきます。

奄美といえば、やはり自然が超きれい!ということで、これまでシュノーケリングやダイビング、マングローブでのカヌーなどのアウトドア系の紹介が多かったのではないかと思います。皆さんそろそろ飽きてきたんじゃないですか?←

 

そこで今回はやや、というかめちゃめちゃマイナーな所を攻めてみたいと思います。

 

先週、私が足を運んだのが・・・。

 

笠利の赤城名です!

 

学校の裏山・・・?

 

いやいや、ただの山ではないのです!

 

実はここが・・・。

 

 

国指定史跡・赤木名城跡なのです!!

 

皆さん、

 

…は?

 

って感じですね 笑

 

私、歴史が大好きで、特に室町-戦国時代を好き好んで日や勉強を重ねています。

最近は中でも同時期の城郭巡りを趣味にしており、ここ2-3か月で千葉県周辺の城郭を40城程巡りました。

 

実は奄美にもお城がある。これ、結構意外じゃないですか?

お城といっても姫路城など、石垣があって、立派な天守閣があって、という絢爛豪華なものではなく、山の尾根を利用して作った“土のお城”になります。

 

なので、写真では

 

 

 

こんな感じではなく、

 

こーんな感じ。

 

ここが主郭、つまり城の中心になるのですが、

一般の人が見るとただの山、藪にしか見えません 笑

 

この画像で伝わりにくい、というのが土の城の玉に瑕な所なのです・・・。

内地でも、実は天守閣、石垣を持った城は数える程度であり、こういった“土の城”は数多くを占めています。一説には全国で4-5万もあるというから驚きです。みなさんも実家周辺を探してみれば規模は様々ですが、必ず一つくらいは城と呼ばれるものがみつかるはずです。

 

 

 

こちらは奄美市教育委員会が作成している赤木名城紹介の冊子より拝借した“縄張図”です

http://bunkaisan-amami-city.com/archives/476

 

なんのこっちゃ、という感じでしょう。縄張りと聞くと、『動物の縄張り争い』みたいな、英語でいうterritory という意味を想像されると思います。実はこの日本語の語源になったのがこの築城用語の縄張なのです。築城の際、築城予定地に縄を張り、城の範囲や建物の位置を示したことに由来します。更地のあちこちに杭を立ててその間に縄を張り、「天守閣はこの大きさで」だとか、「二の丸はここまでにしよう」なーんてやっていたわけですね。縄張図というのは城の構造を表した見取り図になるわけです。

 

赤木名城は等高線があることからわかるように、山に築かれた“山城”というものになります。山の尾根を削平したり、尾根を掘り切ったりして防御陣地として利用するわけですね。こういった構造は本土の山城としては典型的なのですが、基本的に奄美や沖縄の城郭は城と書いて“グスク”と読む琉球王国系の特徴を持つことが多いため、異質の存在であると言えます

 

 

グスクの参考画像。最近火災に見舞われた首里城もグスクの一つですね。

 

奄美は海賊である“倭寇”の拠点であったり、江戸時代初期には薩摩藩の島津氏が進出していますので、赤木名城はこういった際に内地の影響を受けたのかもしれません。発掘調査によると、さかのぼることができるだけでも11世紀の遺構が見つかっているというから驚きです。奄美はあまり歴史には出てきませんが、調べてみると平家の落人伝説なんかも各地で伝承されておりなかなか興味深い土地です。自然に加え、こういった歴史に触れることができるのも奄美の良い所ですね。

 

さてさてさて、与太話はこの辺にして、ここからが本題。まじめな話に移っていきましょう。

先週平岡先生もブログで触れてくれましたが、世間は新型コロナウィルス感染症の話で持ち切りです。店頭からマスクが消え、トイレットペーパーが消え、今度は納豆も爆売れしてなくなりそう、なーんて記事さえ目にします。テレビをつければどこもコロナコロナでノイローゼになりそうですね。私は4月からは呼吸器感染症内科に進むので、最前線で新型コロナと戦うハメになるので今から戦々恐々としています。そのため、今のうちに一度新型コロナウィルスについては勉強してみたいと思っていたのですが、重要なポイントは平岡先生がまとめて下さったので今回は別の視点から攻めてみたいと思います。

 

それはズバリ、

 

“ウィルス性肺炎のCT画像の特徴”について

 

です!!

 

すでにニッチな領域な臭いがプンプンしますねー。

 

先日新型コロナウィルス肺炎がどのようなCT所見を呈するのか調べてみました。すると、とある論文に書いてあったのが、

 

“末梢側優位に浸潤影とすりガラス影が見られる”

 

…そんな肺炎よくあるんじゃん?正直そう思ってしまいました 笑

 

細菌性肺炎でも気管支肺炎であれば似たような像を取りそうですし、その他の数ある呼吸器感染を引き起こすウィルスとの区別も難しそうな気がします。そもそも、、、一般的にウィルス性肺炎というと“すりガラス影主体の気管支肺炎像”が特徴的、と言われていますが、全てのウィルスがこのような陰影を取りうるのか?ウィルスごと。それぞれに特徴はないのだろうか?・・・といった感じでどんどんと疑問が湧いてきたわけですねー。

 

そんな苦悩に答えてくれそうな論文を偶然発見致しました。

 

その名も、

 

“Radiography and CT Features of viral pneumonia”

 

なんと21ページ・・・、よりにもよってハイボリュームです・・・。

この論文、十数種類ものウィルス性肺炎の臨床症状と画像的特徴がまとめられておりました。すべて記載するととんでもないボリュームになるため、いくつか選択して紹介していきたいと思います。場が盛り上がるよう、クイズ形式で行きますよー!

 

まずは一問目、

これは何ウィルスによる肺炎でしょう?

 

 

 

 

これが、

 

 

 

 

 

 

アデノウィルス

 

によるウィルス性肺炎の像になります!

まるで大葉性の細菌性肺炎にそっくりですね!

 

両側性に散在する浸潤影を伴うGGOがメインですが、しばしばこのように細菌性肺炎に酷似した大葉性または区域性の浸潤影を呈することが特徴です。アデノウィルスについては細菌性肺炎との区別がかなり難しそうです

ね。

 

 

続いて第二問目!

 

 

これが、、、

 

 

 

 

 

 

HSV

 

によるウィルス性肺炎になります。

これなんかは割とウィルス性肺炎のイメージに近いんじゃないでしょうか?

両側に斑に散在するGGOと一部浸潤影を認めます。胸水貯留もよく見られるようです。

 

 

続いて三問目!

 

 

 

これも間質影主体でウィルス性っぽい感じがひしひしと伝わってきますね!

 

 

これが

 

 

 

 

 

 

CMV

 

肺炎のCT画像になります。びまん性に広がるGGOが特徴です。免疫抑制の背景から、しばしばPCPとの鑑別が問題になりますが、CMVの方が結節影を伴うことが多いようです。

 

 

まだまだいきます、四問目!

 

 

 

 

これが

 

 

 

 

 

 

VZV

 

による肺炎です。

散在するhaloを伴う結節影が特徴です。いわれてみればプチプチ結節が多発していますね。

 

大体ウィルスは同種のものでは似通った陰影を呈することが多いようですが、ここまで見てきたヘルペスウィルス属に限っては、それぞれに特徴的な所見を持っています。

 

 

だんだん疲れてきました?笑

 

一気に3枚行きます!五問目!

①     

 

②     

 

③     

 

これが、上から

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒトパラインフルエンザウィルス

RSウィルス

ヒトメタニューモウィルス

 

による肺炎になります。

この三種は陰影が似通っており、気道中心性に広がるため、気管支壁の肥厚、気管支血管束の肥厚を伴い、小葉中心性陰影やtree in bud opacityを呈すると言われます。

 

あともうちょっと・・・!六問目!

 

 

 

なんだかいかにも重症そうな肺炎ですねー。

 

これが皆さんご存知、

 

 

 

 

 

インフルエンザ

 

肺炎です。二次的な細菌性肺炎は有名ですが、このようにウィルス自体による肺炎もしばしば目にします。肺胞出血などびまん性肺胞損傷を反映し、広範なGGO、浸潤影が特徴的です。

 

 

ようやくこれで最後です!

この肺炎の原因ウィルスはなんでしょうか!?

 

これが、

 

そう、

 

今話題の

 

 

 

 

 

SARS-CoV2

 

です。

どうですか?ここまでいろんなウィルス性肺炎を見てきた皆さんなら鑑別がつきますよね?!

 

私は「いやいや、無理っしょ…」と諦めの境地に至りました。

 

この論文を読んでみた感想ですが、当たり前ですがウィルス性肺炎は画像所見のみでの診断・鑑別は不可能に近い、ということです。確かに典型的で頻度の多い所見こそそれぞれのウィルスにありますが、時間経過や重症度、背景肺によって陰影のバリエーションは変幻自在です。今回はCT画像のいい勉強になりましたが、それよりも一つの要素だけでなく、シックコンタクトを含めた病歴聴取や身体所見、画像を含めた検査など、複数の要素を適切に組み合わせることで初めて診断に迫ることができるのだ、ということを再確認できたことが自分にとっては良い経験でした。

 

長くなってしまいましたがこの辺でお暇させて頂きます。

次回は広島が生んだアーティスト系内科医、知光先生お願いします!

 

 

参考)

1. Koo, H. J., Lim, S., Choe, J., Choi, S., Sung, H., & Do, K. (2018). Radiography and CT Features of viral pneumonia.

2. Musher, D. M., Thorner, A. R., & Europe, I. (2014). Community-Acquired Pneumonia

3. Yu, Q. (2020). Relation Between Chest CT Findings and Clinical Conditions of Coronavirus Disease (COVID-19) Pneumonia: A Multicenter Study, (October), 1–6.

4. 忽那医師によるCOVID19の総説 https://note.com/chugaiigaku/n/n8583a93b5a80

5. 赤木名城 http://bunkaisan-amami-city.com/archives/476