平成29年から始まった法定相続情報証明制度とは、亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍関係書類と相続人の戸籍謄本等、相続人が誰であるかわかる一覧図(法定相続情報一覧図)を作成して法務局に提出することで、登記官の認証を受けた法定相続情報一覧図の写しを発行してもらうものです。
この制度により、不動産の相続登記や銀行の相続による解約手続きの際に、たくさんの戸籍謄本等の束の代わりに法定相続情報一覧図の写し1枚で相続関係を示すことができます。
不動産が複数あってあちこちの法務局に相続登記をしなければならないケースや、預金が複数の銀行にあるケースでは、手続きが並行して進められるためとても便利です。
反対に、行うべき相続手続きの件数が少ない場合には、この制度を使うメリットはあまりないかもしれません。
法定相続人は被相続人の死亡した時点で確定し、その後変わることはないので、発行された法定相続情報一覧図の写しには有効期限はありません。
ただ、銀行など届け先によっては、『6か月以内に発行されたもの』など有効期限を設けている場合もありますので、事前に確認するほうが安心です。
また、法定相続情報一覧図の写しは何通でも取得することが可能ですが、最初の交付から5年間は法務局で保存されるため、その期間を経過すると再交付を受けることはできなくなります。
再交付は、法定相続情報一覧図の写しの申出人しかできないので、他の相続人が再交付を希望するときは、当初の申出人の委任状が必要となります。