司法書士業務で相続についてのご相談を受けることは多くあります。
感覚的にこの5年ほどで、自身が相続人になったが誰も住む人がいないので売却したい、というご相談が多くなったように思います。人口減による住宅需要の低下も背景なのでしょうか。また、例えば子どものおられない高齢のおじさんが亡くなった場合は甥姪にあたる方が相続人となるケースもあります(民法で定める第三順位相続人である兄弟姉妹である甥姪の父が既に亡くなっている場合は甥姪が代襲相続人となります)が、役所等から税金の督促が来ておじさんが亡くなったことを知ることも多いですし、そのおじさんが独居だった場合は死後数日経過して発見される場合もあります。
居宅内での自殺や事件による死亡のみならず、死後数日経過して発見された場合等もいわゆる「事故物件」となるのか、はこれまで明確な規定もない状態でした。
宅建業法では事故物件(心理的瑕疵物件)は告知事項とされており、「2年以内は告知」や「事故発生から2人目の入居者からは告知しない」等の独自ルールで運用がされている状態でした。
今年5月20日に国交省が事故物件(心理的瑕疵物件)についてのガイドライン案を発表しました。
*なお、国が事故物件についての告知基準をまとめたのは今回が初めてです。
ガイドライン案の骨子(事故物件であることを告知すべき場合)は次のとおりです。
①殺人、自殺、火災などによる不慮の死亡、原因不明の死は告知。ただし、賃貸物件は3年経過すれば不要。
②病気、老衰、転倒、食事を喉に詰まらせるなどの事故死は告知が必要ない。ただし、死亡後の発見が遅れて、遺体が損壊していて特殊清掃があった場合は告知する。
③死亡した場所は居室内だけでなく、ベランダ、廊下など共用部も含む。隣の部屋や道路などはガイドラインには含まず、検討を続ける。
④売買は事故物件による損害額が大きいので、継続して議論していく。
上記は、【現時点で妥当と考えられる一般的な基準】としており、将来において変更される場合もあります。また、引き続き意見募集の上で正式なガイドラインの策定が進められますが、上記案でも概要はつかめるように思います。
ただ、実際の賃貸契約や売買契約において、上記案に沿って告知をせず宅建業法上の責任は問われないとして、入居者・購入者の立場に立てば不満が生じることは予想されるため、現場での運用は注意が必要に思います。