今日は学校は代休で「女王蜂」を観ました。
スタッフ
監督:市川崑
脚本:日高真也、桂千穂、市川崑
製作:馬場和夫、田中収
音楽:田辺信一
編集:小川信夫、長田千鶴子
キャスト
金田一耕助:石坂浩二
神尾秀子:岸恵子
東小路隆子:高峰三枝子
蔦代:司葉子
大道寺琴絵:萩尾みどり
大道寺智子:中井貴恵
多門連太郎:沖雅也
等々力警部:加藤武
加納弁護士:大滝秀治
九十九龍馬:神山繁
木暮刑事:小林昭二
山本巡査:伴淳三郎
嵐三朝:三木のり平
速水るい:白石加代子
遊佐三郎:石田信之
赤根崎嘉文:中島久之
駒井泰次郎:佐々木剛
東小路仁志/日下部仁志:佐々木勝彦
文彦:高野浩之
仙波銀造/速水銀造/大道寺銀造:仲代達也
石坂浩二と市川崑のコンビによる横溝正史の金田一耕助シリーズ三作品目「女王蜂」。
相変わらずキャスト陣が豪華なことで。ちなみにヒロインの中井貴恵は当時新人だったのですが親父は松竹映画のスター・佐田啓二です。そして現在、知る人も多いであろう俳優・中井貴一のお姉さんなんですよ!そして佐田啓二といえば、「坊ちゃん重役」で岸恵子の相手役だった人ですよ。何かの因果ですかねえ・・
ちなみに岸恵子は「悪魔の手毬唄」で犯人役を、高峰三枝子は「犬神家の一族」で犯人役を、司葉子は「獄門島」で犯人役を演じたんですよ。その前3作の犯人役を全員揃えてきたわけですね。さらにさらにあの大スター仲代達也までいるんですからやっぱり市川崑映画は侮れませんなあ。
佐々木剛・・・奴は仮面ライダー2号である!あとちょっと調べたんですが、市川崑と石坂浩二の旧作金田一シリーズの皆勤賞は草笛光子、小林昭二、三木のり平、大滝秀治で、あの松嶋奈々子がヒロインを演じた犬神家の一族も合わせて皆勤だったのが草笛光子と大滝秀治だそうです。小林昭二と三木のり平はすでに死んでました。
どうでもいいんですけど、市川崑って時々、大村崑と名前が被って「市村崑」って表記しそうになっちゃうんですよね。
【以下全文ネタバレ注意】
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源頼朝伝説
源頼朝は月琴の里に来た時に衣笠という娘と結ばれてしまう。後に頼朝は死に、相手を頼朝と知らなかった衣笠は驚きおののく。やがて衣笠の家は逃げるように月琴の里にやってきてそこで暮らし始める。
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伊豆天城の「月琴の里」。大道寺家の屋敷に二人の若者が宿泊する。速水銀造(仲代達也)と日下部仁志(佐々木勝彦)だった。
後に伊豆の大道寺家で、仁志と愛し合っていた大道寺家の娘・琴絵(萩尾みどり)は仁志から母親の命令により別れなければならない、と言われてしまう。指輪を返せ、と言われ琴絵は涙ながらに取りに行く。彼女は仁志の子供を妊娠していた。やがて部屋から悲鳴が聞こえる。別室にいて駆けつけた家庭教師の神尾秀子(岸恵子)は部屋の中から錠を開けてもらう。中には衰弱した琴絵と仁志の頭をかち割られた死体が置かれていた。
秀子らは琴絵をかばうために遺体を崖の下に置き、花を取りに行ったときの事故で死んだように装う。
それからしばらく経ち、銀造は琴絵に求婚し夫婦となるが銀造は琴絵に派遣された妾の蔦代(司葉子)とその息子・文彦(高野浩之)と共に京都の大道寺家に居たが、琴絵は娘・智子とともに月琴の里から離れようとしなかった。名目だけの夫婦だった。
さらにしばらく経ち、仁志の死から19年後。月琴の里の大道寺家の歯車室で遊佐三郎(石田信之)は無惨な死体となっていた。大道寺家に地元の巡査・山本(伴淳三郎)が駆けつけ後から等々力警部(加藤武)や木暮刑事(小林昭二)が駆けつける。
月琴の里の大道寺家には19歳になったら京都に引き取られる約束だった智子(中井貴恵)を引き取りにきた銀造、神尾秀子、蔦代、文彦らがいた。もちろん智子も居た。智子は三人の男たちに求婚されておりそのうちの一人に遊佐がいた。
一方、金田一耕助(石坂浩二)はとある方に「智子を京都へ戻せば殺人事件が起こる」という内容の脅迫状が送られたから調査してほしいと加納弁護士(大滝秀治)に依頼される。しかし誰に宛てられたのかは加納弁護士には教えられなかった。耕助は地元の農夫(常田富士男)に案内され、月琴の里で殺人事件があったことを知る。
大道寺家についた金田一耕助は大道寺銀造にも同じ内容の脅迫状が届いたことを知る。また遊佐の死体の第一発見者・智子の証言により、多門連太郎(沖雅也)という男が既に歯車室に居たことが明らかとなる。等々力警部らは多門を犯人だと決めつけ行方を追う。
しかし金田一耕助は19年前に殺された日下部仁志の事件が今回の事件にも関係がある、と睨み調査を開始する。当時、日下部仁志の遺体を見ようとした山本巡査に話を聞く。彼は宮内省から圧力がかかり捜査できなかったらしい。
金田一は日下部仁志の正体を調べ上げ、宮内省という単語をヒントに公爵家東小路家の息子であるということをつかむ。そして母親が東小路隆子(高峰三枝子)であることも掴み、加納弁護士をツテに彼女と面会する。
一方、智子の京都行きに強く反対する神尾秀子は智子を京都へ戻そうとしているのは東小路隆子と大道寺銀造が仕組んでいると睨んでいた。
やがて東小路隆子主催のお茶会が開かれる。毎年、恒例の茶会だが今回が最後らしい。大道寺家の面々や智子に求婚する生き残りの赤根崎嘉文(中島久之)と駒井泰次郎(佐々木剛)も智子が参加すると聞き、茶会に参加する。また、蔦代の兄で自称心霊研究家の怪しい男・九十九龍馬(神山繁)もその茶会に参加していた。
しかしその茶会で等々力警部らが警戒するにもかかわらず、赤根崎が茶を飲んだ途端に死亡する。茶碗から青酸カリが検出された。
一方、茶会で九十九龍馬に呼び出された智子だったが、九十九は智子の父・仁志を殺したのは智子の母・琴絵だ、と話してしまう。そして智子に欲情した九十九は密室で彼女を襲い気絶させる。だが何者かに太刀で殺された。その後、伊豆に一人で去った神尾秀子に対し九十九を殺した犯人だと、等々力警部は睨む。
また、金田一は下田に行っていた。前に神尾秀子から嵐三朝(三木のり平)の旅役者の一座の写真を日下部仁志がしきりに撮影していた、と証言しそのフィルムを金田一に渡すも何者かに襲われフィルムを奪われてしまう。悔しがった金田一は嵐三朝がいるという下田に行き、そこで嵐三朝から、19年前に月琴の里に立ち寄ったときに1日だけ座に加えてほしい、と頼み込んできた男が1人居た、と言ったのだ。
そして月琴の大道寺家にて、金田一は智子によって開けられた開かずの間の鍵を開けてもらい、そこに等々力警部ら、山本巡査、大道寺家の面々と東小路隆子を呼ぶ。事件の説明をはじめた。
まず、金田一は事件の犯人が大道寺銀造であると話す。まず大道寺銀造はもともと仙波銀造という名前だった。しかし銀造の父は主君に危険だから馬に乗らないように進言するにも関わらず殿が勝手に馬を走らせ、その結果少女を轢き殺してしまった。しかし殿は罪を銀造に着せてしまい銀造の父は獄中死したのだという。
直後に銀造の母も病死し母の妹・速水るい(白石加代子)に銀造は引き取られる。銀造は主君の家に復讐を誓う。その家こそが東小路家だったのだ。
東小路家の次男・仁志と友人になり、歴史研究会として源頼朝伝説を調べるべく月琴の里にやってくる。泊めてもらった大道寺家の娘・琴絵に対し仁志も銀造も惚れ込んでしまう。しかし琴絵は仁志と愛し合ってしまい銀造は前述の復讐心や嫉妬心もあり19年前の事件が起こったのだという。
その後、琴絵と形だけの結婚をする銀造。後に智子に東小路家の血が流れているにも関わらず智子を本気で自分の娘として愛してしまい智子を渡さないために求婚者を次々と殺したのだった。
しかし直後に神尾秀子が自分こそが犯人だと名乗ってから拳銃で銀造を殺害し自分でも自殺してしまう。最悪の結末に等々力警部らは悔しがり大道寺家も悲しみに暮れる。
後に警察発表により神尾秀子は殺人鬼として世間に叩かれる。金田一は神尾秀子の遺した暗号を解き、遺書を見つける。そしてその遺書を山本巡査、東小路隆子、蔦代の三人にだけに見せる。智子に見せないために。
遺書の内容は以下の通りだった。
大道寺家にやってきた仁志と銀造。神尾秀子は銀造に惚れ込んでしまい、仁志と琴絵を結び付けるのだった。銀造をとらせないために。
だがその結果、銀造が仁志を殺害してしまう。それが19年前の事件だった。だが神尾秀子はこの時点では銀造が犯人であると知らなかった。
やがて銀造が琴絵に求婚したことで銀造が本気で琴絵に惚れていることを知ると共に仁志殺しの事件に疑問を抱く。
そして遊佐三郎が殺された時や赤根崎が殺された時に、銀造を犯人であると確信し目をつぶろうとする。また19年前の犯人も銀造だと確信した。
銀造は秀子に智子を殺そうとした時も何度もあったがいつも琴絵に見えてしまい殺せない、という事を明かし初めて銀造と秀子は結ばれる?(あるいはただの接吻だったかもしれない)
秀子は大道寺家や銀造の名を守り智子を殺人鬼の娘、ということを明かさないために自分が罪をかぶると書かれていた。
しかしその内容を智子は聞いていた。東小路家を継がせようとしていた隆子に対し智子は大道寺銀造を父として愛していることと、大道寺家を継ぐことを明かす。東小路隆子の世話を受け、隆子の指図で智子と結婚しようとしていたが本気で智子を愛した多門連太郎も智子の傍にいることを決意。隆子はもともと自分が身分だけで仁志と琴絵の結婚を反対し惨劇が立て続けに起こったことを後悔し智子の決意を認め彼女と涙ながらに抱きあうのだった。
やがて金田一は帰りの汽車で等々力警部と再会する。金田一は編み物をしていた。「これでよかったのでしょうか」と悩む金田一に、等々力警部は真犯人を知ってか知らずか「これでよかったんだ」と答える。
汽車の揺れで金田一の編んでいた青い糸玉が落ちる。
金田一映像化作品で一番、人と人の「恋愛」が事件の主題になってるような気がします。いや、獄門島と病院坂はまだ観てないんですけどね。
恋は盲目、とはよく言いますが本当に盲目なんですねえ。まあ映画じゃないか、と言われればそれまでなんですが恋に狂わされた犯人。私には残念ながら理解はできませんが。ここまで人は狂うのか?とも疑いましたね。
一番印象に残ったのは遊佐三郎の遺体が歯車室で腕がブシャッって吹っ飛ぶシーンですね。なかなかにスプラッタでした。
