あまちゃんの成長日誌

あまちゃんの成長日誌

2013年度上半期の朝ドラ「あまちゃん」は人生のあまちゃんが海女(時々アイドル)を目指して成長する物語。
このブログでは、人生のあまちゃんこと一人っ子長男の成長を軸に、あまちゃんパパこと私の日々の出来事や想いを綴っていきます。

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松野陽一郎『プロの数学 ―大学数学への入門コース』 の第III部は「解析のこころ――無限と近似」 について述べられている。高校数学でいうと微分積分の章に対応する。


実数の重要な性質として連続性 と完備性がある。最近の大学1年生向けの教科書では省略されていることが多いが、本格的な微分積分の教科書には必ず記載がある。実数の連続性の公理としてはデーデキントの切断((A, B)が実数の集合Rの切断(A∪B=R, A∩B=Φ(ホントはちょっと違うフォントだが環境依存なのでやむを得ずファイを使う)、Aの任意の元がBの任意の元より小さい)とすると、Aに最大元が存在してBに最小元が存在しないかAに最大元が存在しなくてBに最小元が存在するかのいずれか一方が成り立つ)が有名である。


これと同値な命題として最大値の存在定理(実連続関数は閉区間[a, b]で最大値(および最小値)が存在する)、「有界単調数列は収束する」などがあり、こちらのどちらかを公理として採用している教科書もある。特に前者については中学以来無意識に用いている「アタリマエの」事実である。そして閉区間でなければ最大値と最小値のどちらかまたは両方が存在しないことがあることも経験的によく知っている。つまり実数の連続性なんてアタリマエの事実であり、難しくこねくり回すのはどうかという意見もあるくらいである。


第III部最初の第7章で2003年京大理系の後期入試問題が取り上げられている。この問題は数列の極限から発想して作問されたであろうと著書は述べているが私も同意見である。

問題 { a_n }を正の数から成る数列とし、pを正の実数とする。このときa_{n+1}>(1/2)a_n-pを満たす番号nが存在することを証明せよ。


この手の問題を証明するには背理法が定番である。つまりa_{n+1}>(1/2)a_n-pを満たす番号nが存在しない、言い換えるとすべての番号nについて a_{n+1}≦(1/2)a_n-pが成り立つと仮定して矛盾を導くわけである。a_n>0であることからa_{n+1}<a_nであることがすぐに分かる。つまり


0<……<a_{n+1}<a_n<a_{n-1}<……<a_1


であることからこの数列が有界(0より大きくa_1以下、つまりいくらでも大きくなったりいくらでも小さくなったりしない)でかつ単調減少列であることは明らか。実数の連続性により数列{ a_n }はある正または0の数に収束するはずである。


しかし a_{n+1}≦(1/2)a_n-pが常に成立している限りそんなことはありそうにない。なぜなら、数列{ a_n }の極限値をαとおくと、a_{n+1}≦(1/2)a_n-pの両辺でn→∞とするとα≦(1/2)α-pよりα≦-2pとなるからである。負の値に収束するということは十分大きい番号nに対してa_n<0でなければおかしいであろう。


ただ、これは大学で習う知識を使っているので、高校数学の範囲で示すとすれば、たとえば次のような証明がある(本にあるように示し方は1つではない)。a_n≦2pならばa_{n+1}≦0となって矛盾するので、a_n≦2pをみたす番号nが存在することを示せばよい。-pがあると却って分かりにくいので、思い切ってこれを無視して、


a_{n}<(1/2)a_{n-1}<…<(1/2)^{n-1}a_1


が成り立っているのでそのようなnが存在するのは明らかである。(えー、たとえばa_1<2^Mpを満たす自然数Mが存在するはずなので、そのMを用いると、a_M<2pを満たすからである)


次の第8章で取り上げられている2005年東大理系の問題も懐かしい。私は高校の先生でも予備校の先生でもないが、授業後学生が青チャートを持って質問に来て、これ教えて下さいと言われたのがこの問題であった。この問題の説明に関連して実数の完備性も説明されている。実は完備性にアルキメデスの原理(a, b>0のときna>bを満たすnが存在する、という当たり前のようであるが、要するに実数の世界にカースト制のようにaが束でかかってもかなわないような数が存在しないということである)を要求すると実数の連続性と等価になる。


いろいろ読んでいくと、大学数学への接続を意識した面白い話がたくさん載っていて、中高生はもちろん、大学生や学校を卒業した「いい大人」にも参考になる本である。


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