21夜 時はどこで生きるの?
「 小さな少年が祖父の膝にすわり
馬の毛を 親指にぐるぐる巻いていました。
パイプにつめる
煙草の葉を混ぜていた祖父は、
少年が不満そうにしているのに
気づきました。
少年は口を開きました。
” 従兄弟の 大きな熊 ほど
背が高くなるには
いくつ 月を越せばいいの? ”
祖父は言います。
” そうだね、
お前が生きた月の 2倍ほどだろう。
なぜ 聞くのかい? ”
少年は答えます。
” 子馬にのって狩りに出たいんだ。
僕には
時を早めることができないみたい。
時を訪ねて
お願いしてみようかな。 ”
祖父は語りました。
” 私たちには
時の住処が見つけられないのだ。
時は
抑え込むことも
先に押し出すこともできない。
私たち 2つ足には、
過ぎる季節の尊重を
学ぶ務めがあるのだ。
人生のどんな瞬間も、
どんな出来事も、
大切に、
聖なるものとして扱うことが
求められている。
今日の満足を忘れたら、
喜びを運んでくれる明日は
決して来ないのだよ。” 」