オビエド郊外のプレロマネスク教会 | ¡Viva ワイン!

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ワインを飲みながら、気になったことを書いていきたいと思います。

この日はアルタミラで輸入しているシードル、シドラ・エスカンシアドールを訪ねるのですが、エスカンシアドールがある町、Villaviciosaを素通りして、オビエドの町の郊外へ向かいました。


目的は、アストゥリアス建築の傑作、サンタ・マリア・デル・ナランコ教会とサン・ミゲル・デ・リリョ教会を見に行くこと。


実は私、この教会に憧れること20数年。若い頃、バルセロナで暮らしていた時に、バルセロナ大学の外国人コースの講座を受講したことがあったのですが、その時に選択した美術史の授業でこの教会を知った時から行ってみたくてなりませんでした。その授業があった帰りに、本屋さんでプレロマネスクの本を買ったほどの感動的なことだったのです。


アストゥリアス建築は、11世紀以降に造られたロマネスク様式と同じ石造りなのですが、ロマネスク様式よりも時代が遡ることから、プレロマネスク様式と呼ばれます。時代的には8~10世紀頃の様式になります。


アストゥリアス地方ですが、現代のスペインを語る上で非常に大きなポイントを示す地域です。というのも、現在カトリック王国であるスペインにとって、アストゥリアスは現在の王国の発祥の地になるからです。


711年、グアダレーテの戦いで、当時イベリア半島を治めていた西ゴート族を滅ぼしたアラブ民族は、その後も勢力を伸ばし、イベリア半島の大半を制覇します。


それに対抗したのが、オビエドを首都とするアストゥリアス王国(後に首都がレオンになり、カスティーリャ王国となる)だったのですが、彼らはレコンキスタ(国土回復運動)を柱に、次々と征服されていた土地を奪い返し、カトリック王国に変えていき、1492年にグラナダを滅ぼすことによってレコンキスタは終結をむかえます。


その過程に、アメリカ大陸の発見(住んでいた人々に取っては発見ではありませんが)や、日本への宣教師派遣、マゼランの世界一周(厳密にはマゼランは帰国途中のフィリピンで現住民族に殺されるので彼は世界一周を果たしていないのですが)など、近代社会の幕開けとも言える偉業が成されていくのです。


スペイン王国の源でもあるアストゥリアスに敬意を称して、現スペイン国王は後継者にEl Principe de Asuturias(アストゥリアス王太子)と名乗らせています。これは、イングランド国王が、プリンス・オブ・ウェ-ルズを名乗るのと同じことです。


アストゥリアス地方は北はカンタブリア海に面し、南はピコス・デ・エウロパ(ヨーロッパの頂点)と呼ばれる山脈に阻まれて、アラブ民族が侵略することが出来なかった土地になります(他に侵略できなかったのはピレネー山脈付近とされています)。ですので、独自の文化が色濃く残ったと言われています。


前置きが長くなりました。スペインの歴史の背景、少しは分かっていただけたでしょうか。


GPSのマルタの入力に手間取ったのですが、オビエドと入力してからナランコ山というのがあったので、そこをリマークしてみました。結果はOK。マルタ、使えます。


舗装された坂を上っていくと、突然左に見えたのがナランコ教会でした。


Viva ワイン! 後光(ないけど)に映える、サンタ・マリア・デル・ナランコ教会。車を坂の途中に止めて、駆け寄る途中に撮ったものです。やっと会えたね、と抱きしめたくなりました。


Viva ワイン! 愛すべきお姿を複数撮影しましたのでご覧ください。


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Viva ワイン! 何も語るべき言葉はないと思います。最後の画像ですが、観光バスでも着いたのでしょうか、急に観光の人々が増えました。


Viva ワイン! 中には入れなかったのです。持っていたガイドブックには入場料3ユーロと書いてあったのですが…。精一杯拡大してみました。でも、来られただけで満足です。


Viva ワイン! 少し落ち着いて回りを見ると、こんなの発見。夜はライトスポットされるのでしょうね。


Viva ワイン! 山から見えるのはオビエドの町。今回は時間がなくてオビエド市内は全く立ち寄ることが出来なかったのですが、スペイン政府観光局からいただいた資料によると、オビエドの町にはプレロマネスクの遺跡がたくさんあるみたいです。とっても残念でした。


でも、残念がってもいられず、200m上にあるという、サン・ミゲル・デ・リリョ教会まで行く事に。車であやうく通り過ぎるところでした。


Viva ワイン! サン・ミゲル・デ・リリョ教会です。


Viva ワイン! ああ、やっぱりプレロマネスクはそそられるわ~と似たような構図で何枚か撮っていますのでお付き合い下さい。


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Viva ワイン! この2つの教会をしばらく堪能していたのですが、アポイントの時刻も迫ってきたので、泣く泣く現地を後にしました。


でも、Villaviciosa(ビジャビシオッサ)にも素晴らしいプレロマネスクがあったことを、この時点は私は知る由もありませんでした。


次回はビジャビシオッサのプレロマネスク…ではなく、シードルのメーカー、シドラ・エスカンシアドール社のレポートになります。