クッシング症候群2-アルマ動物病院 糖尿病・内分泌病センター <内分泌病辞典>-
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二次診療施設<アルマ動物病院 糖尿病・内分泌病センター>を併設しています。
糖尿病をはじめとするホルモン疾患の治療とご家族のお悩みを一緒に解決できるように診療をおこなっております。
内分泌病
ホルモンとはからだのいろいろな臓器から分泌されて、血流に乗って目的の器官に運ばれて生命機能を維持するはたらきをもつ重要な情報伝達物質であり、このホルモンを分泌する臓器を内分泌器官といいます。おもなものとして下垂体、甲状腺、上皮小体(副甲状腺)、膵臓、副腎、卵巣、精巣などがあります。これらの内分泌器官に不具合が起きて、症状が見られるのを内分泌疾患(病)といいます。
犬猫の主な内分泌疾患
糖尿病
甲状腺機能低下症
甲状腺機能亢進症
副腎皮質機能低下症
副腎皮質機能亢進症
上皮小体機能低下症
上皮小体機能亢進症
今回は<副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状>についてお話します
-副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)はどんな症状がでるの?-
コルチゾルは体内のほとんどの臓器に作用しています。
クッシングはこのコルチゾルが過剰分泌となりますので、いろいろな症状が出現します。
最も多い症状は、多飲多尿、多食、体幹肥満となります。
体幹肥満とは肝臓の肥大、腹腔内脂肪増加することにより腹囲膨満、いわゆる”たいこばら”となり、四肢の筋肉も低下してさらに強調される状態となります。
このほかに皮膚疾患も多く、脱毛や感染症・膿皮症のほかに、腹部の皮膚が薄くなる”菲薄化”により血管が透けてみられるようになります。
これは腹囲膨満とあわせて”ポットベリー”と言われます。
猫ではこの皮膚の菲薄化から皮膚が破ける”裂傷”を引き起こすことがあり、この症状から本症を疑うことがあります。
また、何らかの理由で剃毛した部分からの発毛がみられない、あるいは非常に遅いなどから本症を疑って診断されることもあります。
まれにみられる症状としては靭帯が断裂しやすくなるので、特に前十字靭帯断裂の症例では注意をしています。
偽筋緊張症は四肢の筋肉がこわばることで歩行が困難になってしまいます。
また、ステロイドホルモンは血液が固まる血栓症を誘発しやすくなるために、血栓塞栓症を引き起こすことがあります。
クッシングでは急に状態が悪化して死亡してしまうことがあるといわれていますが、この血栓塞栓症が原因の1つと考えられています。
ただし、どれも必ず見られる症状ではないため、注意が必要です。
<よくみられる副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状>
多飲多尿 80-85%
多食 80-90%
体幹肥満 90-95%
(腹囲膨張 肝腫大 筋力低下)
内分泌脱毛
パンティング
高血圧 50%
心不全
糸球体腎症
蛋白尿 75%
網膜剥離
<ときにみられる副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状>
沈うつ・無関心 75-85%
皮膚疾患
感染症・膿皮症 55%
面ポウ 5%
菲薄化 13%
皮膚色素沈着
発毛遅延・不全
尿失禁
糖尿病
<まれにみられる副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状>
血栓塞栓症
靱帯断裂
顔面神経麻痺
偽筋緊張症
睾丸委縮
断続的無発情
近年犬は室内で飼育されることが多くなり、飼い主との距離が非常に近くなりました。
これはいろいろな病気の早期発見につながっていますが、他方で飼い主の喜怒哀楽を享受することにもなり、ストレスが高くなっています。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の発症が増加傾向にあるのもこのストレスが大いに関連していると考えられます。
また、最近の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の傾向として症状が分かりにくくなっているのも特徴と思われます。
このため、健康診断にて血液検査や画像検査から本症を疑い、ACTH刺激試験により診断を受けたが、
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状がみられないという例が増えています。
実際に副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)のセカンドオピニオンとして、”診断を受けたが、治療は必要なのか?”という問い合わせがとても多くなっています。
診断に不安をお持ちで、治療の必要性に悩まれている方は是非一度お越しください。
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