車椅子の青年のために
今回は『第5回ふかやシティハーフマラソン』に出場した、
Mさんのエピソードをご紹介します。
Mさんは昨年ダイエット目的のために、
とあるスポーツクラブに入った。
しかし入ったはいいが、なかなか痩せない。
おまけにジムに通うのも億劫になってきた。
そんな時にふと目に入ったのが、
マラソン大会のランナー募集のポスターだった。
マラソンランナーには痩せているイメージがあったし、
目標を体重減に置くよりもマラソン大会出場に置けば、
結果的に痩せるのではないか?と思った。
そして迷わず所属するジムで、10kmマラソンにエントリーした。
しかしマラソンは高校の体育の授業以来、
それも5kmまでしか経験がない。
もう27年間も走っていないのだ。
「自分に10kmも走れるだろうか・・・」
足切り条件も不安だった。
5kmを40分以内、10kmを1時間20分以内に越えなければ失格。
マラソンをまともに走ったことのないMさんにとっては、
かなり高いハードルだった。
「でもチャレンジだ!」
Mさんの意志は固かった。
早速、次の日からランニングマシンで走ったが、
少し走っただけでゼェーゼェー言ってしまう。
週に3日ほど、少しずつ距離を伸ばしながら走った。
それでも10kmは走れない。
せいぜいゆっくり走って8kmがやっとだった。
そうしている間に、大会当日が来てしまった。
10kmの参加者は1,500人ほど。
スタートの合図が鳴るが、これだけ大勢の人がいると
なかなか前に進めない。
ようやく混雑がなくなり、集団に合わせて走り始めたものの、
周りのペースはとても速い。
勢いと気合いで合わせて走るのも、2kmが限界だった。
徐々にペースダウンし、
途中で靴紐がほどけるというハプニングまで。
「5kmまで来たが、もう駄目か・・・」
そんな想いが頭をかすめた時に、
1人の車椅子に乗った青年が
必死に我々ランナーを応援していた。
その姿を目にした瞬間、Mさんの気持ちに変化が訪れた。
自分が歩けないにも関わらず、
なぜ他人をこんなに応援してくれるんだろう。
私には考えられない。
車椅子に乗るくらいだから、相当大きな怪我なのかもしれない。
普通ならば、腐ったりすねたり、
ネガティブになってもおかしくないのに。
彼の純粋でひたむきな姿に心打たれた。
Mさんは彼のために走ろうと思った。
幾度も幾度もつらいところがあった。
しかし車椅子に乗って一生懸命に応援するあの青年の姿を
頭に思い浮かべながら、Mさんは彼のために走った。
そして完走。55分48秒。
「やったぜ!」
つらかった分だけその充実感は何とも言えないものがあった。
完走賞は今までもらった賞状の中で一番嬉しかった。
そして何より車椅子の青年のために走り切れたことが嬉しかった。
「ありがとう、車椅子の青年。こんなに感動を与えてくれて・・・」
マラソンの思わぬ魅力を知ったMさんの挑戦は
まだまだ始まったばかりだ。
(文責:オールスポーツ編集担当)
Mさんのエピソードをご紹介します。
Mさんは昨年ダイエット目的のために、
とあるスポーツクラブに入った。
しかし入ったはいいが、なかなか痩せない。
おまけにジムに通うのも億劫になってきた。
そんな時にふと目に入ったのが、
マラソン大会のランナー募集のポスターだった。
マラソンランナーには痩せているイメージがあったし、
目標を体重減に置くよりもマラソン大会出場に置けば、
結果的に痩せるのではないか?と思った。
そして迷わず所属するジムで、10kmマラソンにエントリーした。
しかしマラソンは高校の体育の授業以来、
それも5kmまでしか経験がない。
もう27年間も走っていないのだ。
「自分に10kmも走れるだろうか・・・」
足切り条件も不安だった。
5kmを40分以内、10kmを1時間20分以内に越えなければ失格。
マラソンをまともに走ったことのないMさんにとっては、
かなり高いハードルだった。
「でもチャレンジだ!」
Mさんの意志は固かった。
早速、次の日からランニングマシンで走ったが、
少し走っただけでゼェーゼェー言ってしまう。
週に3日ほど、少しずつ距離を伸ばしながら走った。
それでも10kmは走れない。
せいぜいゆっくり走って8kmがやっとだった。
そうしている間に、大会当日が来てしまった。
10kmの参加者は1,500人ほど。
スタートの合図が鳴るが、これだけ大勢の人がいると
なかなか前に進めない。
ようやく混雑がなくなり、集団に合わせて走り始めたものの、
周りのペースはとても速い。
勢いと気合いで合わせて走るのも、2kmが限界だった。
徐々にペースダウンし、
途中で靴紐がほどけるというハプニングまで。
「5kmまで来たが、もう駄目か・・・」
そんな想いが頭をかすめた時に、
1人の車椅子に乗った青年が
必死に我々ランナーを応援していた。
その姿を目にした瞬間、Mさんの気持ちに変化が訪れた。
自分が歩けないにも関わらず、
なぜ他人をこんなに応援してくれるんだろう。
私には考えられない。
車椅子に乗るくらいだから、相当大きな怪我なのかもしれない。
普通ならば、腐ったりすねたり、
ネガティブになってもおかしくないのに。
彼の純粋でひたむきな姿に心打たれた。
Mさんは彼のために走ろうと思った。
幾度も幾度もつらいところがあった。
しかし車椅子に乗って一生懸命に応援するあの青年の姿を
頭に思い浮かべながら、Mさんは彼のために走った。
そして完走。55分48秒。
「やったぜ!」
つらかった分だけその充実感は何とも言えないものがあった。
完走賞は今までもらった賞状の中で一番嬉しかった。
そして何より車椅子の青年のために走り切れたことが嬉しかった。
「ありがとう、車椅子の青年。こんなに感動を与えてくれて・・・」
マラソンの思わぬ魅力を知ったMさんの挑戦は
まだまだ始まったばかりだ。
(文責:オールスポーツ編集担当)