日仏米共同で制作された海外版「神の雫(Drops of God)」ドラマシリーズをついに見ることができました!

 

 

日本ではHuluで見れるそうですが、アメリカではApple TV+で見ることができます!このドラマを見るためにApple TV+にサブスクしました。

 

 

リリース:2023年

監督:オデット・ラスキン

出演:山下智久、フルール・ジェフリエ、トム・ウォズニチカ、スタンレー・ヴェベール、ルカ・テラッチャーノ、ディエゴ・リボン他

 

フランス語・英語・日本語の多言語で描かれた作品で、撮影は日本、フランス、タイ、イタリアで行われました。

 

全体の感想としては、ワイン好きには一度は見てほしい素晴らしい作品でした!!

 

エピソード1の初めの方は、ソフィア・コッポラ監督の日本を舞台にした映画「ロスト・イン・トランスレーション」にサイコスリラー要素をブレンドしたような色彩と世界観で、その後の展開がやや不安でしたが、エピソード毎にどんどん引き込まれていき、8エピソードあっという間に見切ってしまいました。見ごたえのある8時間でした。

 

ストーリーは、世界的に大ヒットしたワイン漫画「神の雫」に”インスパイア”されたもので、オリジナル作品とは全く異なる設定になっています。より現実に近くなった印象がありました。

 

全ての役者さんがとても味があって、個性豊かで魅力的なキャラクターにぴったり。3言語(イタリア語を入れると4)が交わることでワインの世界をより美しくお洒落に表現しているように思えました。フランスワインを語る時はやはりフランス語の響きが良いですね!(学生の頃フランス語勉強すればよかった~)

 

ソムリエやワイン専門家の会話はリアリティーがあり、イタリア人・フランス人のソムリエがいかにも言いそうなセリフが沢山詰まっていて、レストラン時代の同僚ソムリエを懐かしく思い出しました(私が以前働いていた米国・ビバリーヒルズのレストランではヨーロッパ出身のソムリエを多く採用していました)。

 

山下智久さんが演じる聡明なワイン評論家・遠峰一青の英語力や肉体美もたぶん注目ポイントだとは思うのですが、遠峯一青の母親・遠峯仄香の若い頃を演じた龜田七海さんの演技、特に表情が絶妙でとても印象に残っています。

 

南フランスのワイン産地シャトーヌフ・デュ・パプの葡萄畑にスポットライトを当てた数々のシーンはとても綺麗で、ソムリエ教本で学んだ土壌の特徴をビジュアルで楽しめてとてもためになりました。

 

↓↓ここからはテクニカルな感想です↓↓

 

① ワイン

 

 

エピソード3のここはコメントしたい!

 

スペインを代表する高級ワイン「ベガ・シシリア ウニコ(Vega Sicilia Unico)」とフランス・ボルドー右岸のトップ生産者の一つ「シャトー・シュヴァル・ブラン(Château Cheval Blanc)」について、語っている部分です。

 

フランス人の醸造家トマが「この2本のワインは全く同じ葡萄品種で作られたワイン」と言っていますが、これは間違いです

 

ベガ・シシリア・ウニコは、主にテンプラニーニョ(ティント・フィノ)品種とカベルネソーヴィニョンのブレンドで、ヴィンテージにより多少異なりますが、9割以上がテンプラニーニョで構成されています。

 

一方、シュバル・ブランは、多くのヴィンテージでメルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンの3品種によって構成されています。ヴィンテージによってはカベルネソーヴィニョンが全く入っていない場合もあります(例:2012年ヴィンテージ)。

 

 

そのためこの2本は全くキャラクターの違うワインです。カベルネソーヴィニヨンやカベルネフランの例として取り上げられていましたが、少なくともベガシシリア・ウニコは例としては適切ではないような気がします。。

 

さらに言うと、このシーンに繋がる部分で日本人のソムリエ・ミヤビが「トリュフの香りは熟成したカベルネソーヴィニョンかカベルネフランが入っているからだ」というように発言しているのですが、「トリュフ」=きのこの香りは熟成した幅広い赤ワインに当てはまる表現なので、ソムリエとしての発言としてはちょっとリスキーだなと思いました。

 

(ワイン専門家が監修していると思うので、もしかしたら編集上の理由で大事な台詞がカットされてしまったのかも…?)

 

 

② サービス

 

米国の一般的なワインのサービス試験(主にコート・オブ・マスター・ソムリエ試験)、ソムリエが取得することが推奨されているアルコール類管理者資格、ソムリエが取得必須の食品取扱資格に基づくコメントです。日本やフランスとは違うのかもしれませんが、ご参考にリストします:

  • エピソード1で日本人ソムリエ・ミヤビがワインを抜栓するシーン、恐らく熟成ワインの抜栓だと思うのですが、コルクを引っ張るタイミングが早い(普通ならたぶん折れてしまう)ので危険。
  • 全体的にグラスに注ぐ量が多い(通常、グラスの一番広い部分まで)。
  • 既にグラスに注がれた量とボトルに残っている量が一致しない(サービス試験ではボトルに残った量をどのようにお客様に分配するかという試験があるため、気になるポイント)。
  • イタリア人のソムリエ・ロレンツォが指輪を付けすぎている(アメリカの衛生に関わる法律では、飲食の現場で働く人は、指輪の着用はシンプルなバンド式の結婚指輪までとされている)。
  • ルカのレストランは高級ワインを扱うファインダイニングという設定であるが、白いテーブルクロスが汚れないようにワインボトルコースターは使用しないのだろうか?

 

以上です!

 

本作品のプロデューサー・クラウス・ジーマンさんのこちらの記事も面白かったです。

 

Apple TV+のプレスリリースによるとシーズン2もリリース予定のようなのでとても楽しみです!