ロサンゼルス在住のソムリエです。現在生後4か月になる息子がいます。
ソムリエママとしてとっても気になっていたのが「いつ再びワインが飲めるのか」問題。
とても興味があったので妊婦の頃からUCLAの主治医や複数の専門家の方々に色々と聞いてみました。日本のオンライン情報とかなり異なるので、一つの考え方として参考にしていただければと思います!
【妊婦】
妊婦に関しては妊娠が発覚した時点でアルコールの摂取は控えたほうが良いというのが全体的な意見。
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米国疾病予防管理センター(CDC)
アルコールを過剰摂取すると発症しうる胎児性アルコール・スペクトラム障害(英Fetal Alcohol Spectrum Disorders:FASD)に関して細かく公開している。どれくらい摂取したら危険なのか/症状がでるのか、ということについては具体的なデータは存在しないとしている。
詳細はここから
アメリカ妊婦協会(APA)
過剰なアルコール摂取は胎児の疾患の原因となる可能性がある。たまに飲酒(occasional drinking)する分については大きな疾患にならない可能性が高い「とも言える」と言及。
詳細はここから
ハーバード大学メディカル・スクール
全くアルコールを摂取しないことが最も安全(the safest)であるが、妊娠初期の飲酒は胎児に悪影響を及ぼさない可能性が高いとしている。5,628人の妊婦を対象とした調査で全体の半分が妊娠の最初の3カ月に飲酒していたという結果が出たが、疾患発生の率は飲酒していない人のグループと変わらなかった。
詳細はここから
カリフォルニア大学ロサンゼルス(UCLA)病院
UCLAの産婦人科のパンフレットには「できるなら飲まない方が良い」「禁酒が安全」と書かれてる。
UCLAの主治医
アルコール摂取による直接的な胎児の疾患発生リスクより、①酔って転ぶ可能性と、②暴飲(binge drinking)が続くとアルコール中毒になり母体が栄養摂取できなくなり胎児に栄養が行かなくなる可能性があることがもっと問題。少々の飲酒であれば問題ない。
同大学病院内の他の産婦人科の先生
似たような意見。みんな最後に付け足したのは、「でもフランス人は結構飲んでるから人それぞれね。」。(なるほど・・・)。
*余談*
UCLAでは妊娠8週目と思われる週にようやく産婦人科の初診があり(結構遅い)、そこでライフスタイル・カウンセリングのアポを取ります。妊娠発覚前の食事の様子、仕事の内容・スケジュール、アルコール、たばこ、ドラッグ、持病、手術歴について質問表に回答し、別途カウンセラーとのセッションがありました。
妊娠前のアルコール摂取に関して正直に回答したわけですが、私の主治医からは「ワインが好きな人は、飲めないことがストレスになるくらいなら飲んだ方が良い。ストレスの方が毒だ」というアドバイスを受けました。(かなり衝撃!)
妊娠中、数回微量を飲みましたが、そもそも長い期間体調が悪く、飲みたい気持ちにもなりませんでした。後期、体調が良くなってからは、罪悪感無しで飲める美味しいノンアルコールワインの研究を楽しみました!(ノンアル研究ブログはこちら)
【授乳期間】
授乳中は注意をすればある程度飲んでも大丈夫、というのが全体的な意見。
米国疾病予防管理センター(CDC)
ワインであれば1グラス(5oz = 約148ml)を飲んでから2~3時間空ければ次の授乳を行って良い。2グラス飲めば4~5時間、3グラスを飲めば6~8時間空けるとしている。但し、人によってアルコール分解速度が異なるため要注意 (注: アルコールの種類やアルコール度数により1グラスの定義が異なる。他のアルコールについては以下リンクから)。
詳細はここから
ジョンホプキンズ大学チルドレンホスピタル
24時間内に2グラスのワインを飲むことは問題ない。1グラス(5oz = 約148ml)飲んだ後、次の授乳までに2時間空けること。但し、酔っぱらって子供のケアを怠らないように注意。
詳細はここから
カリフォルニア大学ロサンゼルス(UCLA)病院
病院から推薦された授乳に関するオンライン講座を受けました(UCLA Birthplace Breastfeeding Class)。配布資料では、ワインであれば1回1サービング(8oz = 約237ml)で、飲んでから2~3時間空けるようにとのこと。
UCLAの主治医
CDCのガイドラインに沿っていれば安全。ガイドライン上では、1日1グラスくらいとあるが、実際のところ、もっと飲んでいる人が多いとのこと。量を飲むことは勧めないが、それでリラックスできるのであれば、飲んでも構わないとのこと。
同大学病院内の他の産婦人科の先生
同じような意見で、飲酒をした場合は母乳を捨てる必要があるのか(pump and dump)と聞いたところ、母乳も循環しているので、血中アルコール度数が母乳中のアルコール度数と考えたらよいとのことだった。血中にアルコール反応が出るのは飲酒から30分~60分が一番強いそうで、私の身長・体重(159センチ、50キロ)だと、1グラスで2時間空ければ十分とのこと。
同大学病院所属の小児科の先生
ガイドラインから大幅に外れていなければ全く問題ない。もし心配であれば、飲酒をする場合は、その後の授乳を粉ミルクや市販の液体ミルクを代用したら良いとのこと。最近の粉ミルクは栄養素を追加しており、むしろ母乳で足りない栄養素を補填できるため併用することを勧めるとのこと。
同大学病院所属のラクテーション・コンサルタント(母乳育児支援にかかわる専門家)
ガイドラインに沿っていれば問題がない。飲酒をすることで母乳の出が悪くなる人がいるが、その場合は飲酒をやめるか、また粉ミルクや市販の液体ミルクを代用すると良い。
同大学病院所属のメンタルカウンセラー
産後鬱は深刻な問題。子供の成長ももちろん大事であるが、何より母親のメンタル維持を最優先しなくてはならない。ワインがリラックスに繋がるのであればむしろ飲んだ方が良い。但し、メンタルが不安定で暴飲(binge drinking)にならないことを前提。
・・・ということで、授乳中でも嗜む程度の限定付きのワインの飲酒は問題ないということが通説のようですね・・・。
ちなみにCDCが定める1グラス(5oz = 約148ml)を実際のグラスに測って入れてみました。
左は大きなリーデル社のソムリエシリーズのボルドーグラス、右はレストランシリーズのもの。
思った以上に結構ボリュームありますね!!
大きなグラスだと、香りを楽しみながらゆっくり味わえそう!!
大好きなワインなので、少しでも良いから安全に飲めると良いなと思います。
ちなみに、お医者さんにはこちらのミルクを勧められました↓
【最後に】
飲酒に関する話題は賛否両論です。ご自身の体調と、かかりつけのお医者さんと相談し適切な判断をしてください。また、このブログの内容は信頼できるオンラインの情報と各専門家の意見を単にまとめたもので、個人的な見解ではありません。


