ある男性が古びた旅館に長期滞在することになったの。階段上がってすぐの2階の部屋。
泊まってすぐ、異変はおきた。夜中、階段のほうでぱたぱた足跡がするの。

子どもが走り回るような音、そしてこんな歌。
「ひとつ登った、うれしいな♪
 ぜんぶ登ったら遊びましょ♪」


次の日、中居さんに聞くと、なんでも座敷わらしの仕業とのこと。
それから毎日、夜中に足音がしたけど、なにしろ幸運を呼ぶ座敷わらしの仕業。悪い気はしなかったのね。

 


宿を立つ前日の夜、彼はその座敷わらしを見たい衝動にかられた。座敷わらしはいつも同じ時間に現れては消えていく様子。そこで彼は起きてその時を待つことにしたの。タイミングよく、階段を座敷わらしが全部登りきる、ちょうどその夜だったし。

 

そして、その時刻。足音が聞こえて
「ひとつ登った、うれしいな♪」の歌声。
座敷わらしが消えてしまう前に!と思って彼は部屋の襖を思い切り開けたの。
そこには、おかっぱ頭で着物を着た可愛いらしい女の子。
座敷わらしは彼を見ると「あ~あ、見つかっちゃった!」

と屈託なく笑って、消えていったの。
念願の座敷わらしに会えたけど彼は浮かない気分だった。

 

 

だって、その座敷わらしの手に握られていたのは、とても大きな包丁だったから…

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  『こんな座敷わらし嫌だ!』グランプリ決定(о´∀`о)!