ダンテの春 | Rakuenありす ~自然農園/農薬・化学肥料不使用

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孵卵器で孵ったペキンバンタムとポーリッシュの雛ダンテ。
生まれて初めて育児ノイローゼを体験したヒヨコ育て。
ダンテの娘アビーは神経質で、
乱暴者で大食いいたずら坊主の南部かしわ鶏。
棲息生物の方が運営者より強い「Rakuen」日誌です。

2023年4月13日

 

ダンテの春

 

 3月23日にさっちゃんが、4月に入って8日の夕方からナミちゃんが抱卵に入った。

 さっちゃんが抱卵に入って外に出て遊ばなくなり、ナミちゃんが一羽だけになってダンテについて歩いていた。ダンテはもともと大人しいナミちゃんにばっかり交尾していたのだが、一羽になったら余計にナミちゃんが乗られる回数が増えて、しまいにはナミちゃんは、ぺったり座って動かなくなってしまう。

 ダンテも、ナミちゃんが一羽だけになってしまってから、それまではさっちゃんナミちゃんがいるので、あまりあちこちに行かずに一緒に畑にいることが多かったのだが、一羽だけになってしまったら、悪い癖がまた出てきた。遠くに見えるヒトのところに走って行ってしまったり、一人で玄関先に戻ってみたり。

 落ち着いて畑作業が出来なくなり、田んぼを越えて犬の散歩をしている人のところに行ったときには、朱鷺(shuro)は怒って、走って逃げるダンテの尾羽をひっつかみ、足を持って逆さづりにして連れ帰って来た。それでも、その姿勢のママで「コケコッコー」の雄叫びを上げるダンテの負け惜しみが意味分からんかった。そのあと、ハウスに閉じ込めたら、ダンテも怒ったらしく、しばらく朱鷺(shuro)に近づいてこなくなった。

 そして、ついにナミちゃんも抱卵に入り、ダンテは一人ぽっちになってしまった。それまで、「コッコッコッコッ」と呼べば、さっちゃんナミちゃんが駆け寄って来たのに、どんなに呼んでも誰も来ない。ダンテには、不思議で意味不明で、混乱しただろうと思う。

 ダンテだけを連れて畝を作っているとき、虫を見つけて放ってやると、そのときはもう、ダンテは誰も呼ばずに一人でそれらを食べていた。呼んでも来ないと諦めたのかと思うとちょっと切なかった。

 ここ数日、ダンテはさっちゃんナミちゃんが抱卵している場所に行って、彼女たちの目の前で優しい声で「コッコッコ…」と言いながらしゃがみ込むような、座り込むような仕草をする姿を見るようになった。

 さっちゃんの抱いている卵は、そろそろ一羽目が孵化しているはずと思って、今朝見に行った。するとさっちゃんの様子が以前と違って、いかにも警戒している。お、雛が孵ったな、とさっちゃんを持ち上げてみると、灰色の雛が一羽見えた。

「灰色だ…」

 やっと、抱卵成功!

 ダンテが生まれたのは昨年の5月3日。実はまだダンテは一歳になっていない。さっちゃん達はすでに卵を産んでいる子たちだったので、年上女房たちであるが、恐らく彼女たちも初めての抱卵と雛誕生であろうと思う。

 天ちゃんも3月の終わりから卵を産みはじめ、その一個目をさっちゃんに託してみたが、その子が生まれるのは(ちゃんと有精卵であれば)18日。それから、タム子も8日に卵を産みはじめ、その一個目はナミちゃんに託してみた。

 さて、天ちゃん卵とタム子卵はどうなるだろうか。

 それから、さっちゃんが抱卵を始めたので、戻してみた10日前の卵は、しっかり雛になりかけていたそうだ。生卵の賞味期限が14日間というのは、そういうことなのだ…。ちょっと呆然。