アリスらしさ | 続・阿蘇の国のアリス
最近のアリスは、寝てばかりです。

病気だから仕方がないとはいえ、
よくもまあ、あれだけ眠れるものだと
感心してしまいます。

それでも、
ママがごはんの準備をはじめると、
すっと立ち上がり、
そばにかけ寄ってゆきます。

トイレにいきたくなったときも、
起き上がり尻尾を振って
外に出たいと合図を送ります。

すっかり、
元気はなくなってしまいましたが、
アリスらしさは、
今でも随所に見られます。
そのことがうれしくて、
ぼくはつい、心の中で呟いてしまいます。

「アリス、ありがとう」

先日、山犬に会いにいった時、
草原でゴルフボールを見つけました。
アリスに渡すと、
うれしそうに口の中で
モゴモゴさせました。
少し歩くと、
またボールが落ちていました。
そのボールも渡すと、
2個いっしょに口の中に入れようとしました。
しかし、どうしても1個は口から
こぼれてしまうのです。
何度も何度もそのくり返し...。
それもまた、
昔からのアリスのしぐさでした。

「アリスは口が小さいんだから、
2個は無理だよ。お前は、
ぼくと同じで、ほんと学習能力がないね」

アリスを見つめながら
ぼくは語るのでした。

たったこれだけの時間...
そう、たったこれだけのことが、
今では宝物になってしまいました。

アリス、今年も世話になったな。
病気でつらいけれど、
アリスらしいしぐさを
また、見せておくれ。

パパはそれだけで、
それだけで幸せになれるから。