もっと深い理由がある
ブリティッシュコロンビア州バンクーバー沿岸から少し離れた小さい島の施設で、リトリートを開催していた時のことです。
開催場所は、その島にたった一つしかない、素朴なキャンプスタイルの施設で、管理人もデイヴという男性一人だけでした。
ところが、プログラムが進むにつれて、彼はセミナーが始まっているにも関わらず、私たちの居るルームに頻繁に出入りしてきました。
最初は、建物の管理上で緊急なことが起きていて、対応が必要なのかと思いましたが、そんなことはありませんでした。
参加者が自身の人生の問題について、親密なシェアをしているデリケートな時でさえ、彼はルームを行き来し続けました。
これは良くないと思い、私たちはとうとう、彼にセミナー中はルームに入らないでほしいと礼儀正しく頼みました。
ところが、デイヴは、それでも止めなかったのです。そこで、私たちは彼の行動には、何か理由があるに違いないと思い、彼をセミナーへ招き入れました。
参加してすぐに、彼はつい最近奥さんと小さな娘を悲劇的な車の事故で亡くしたと告白しました。
そして自分を癒すために、人里離れた場所でひとりになれる、この仕事を選んだのだと。
私たちのグループが癒しに関することをやっていると分かった時、参加したいと思ったのだと。
参加者たちは彼に深く共感し、彼を抱き締め、彼もまたその愛とサポートを、感謝と共に受け入れました。
その時から、彼はグループの一員となり、その後の全ての日程に参加しました。
セミナーが進むにつれて、デイヴはどんどん明るくなり、ずっと背負っていた、とても重い悲しみを手放しました。
そして、週の終わりには、彼は光り輝くようにまでなったのです。
最終日、その島を離れ、本土へ戻った時のことを、今もよく覚えています。私たちの乗った小さな船がデッキを離れると、デイヴは波止場の先に立ち、遠くなっていく私たちに、にこやかに手を振り続けてくれました。
どんどん遠ざかり、どんどん小さくなり、姿がほとんど見えなくなっても、彼はそこに居続け、手を降り続けました。
(時々、彼は今もまだあの場所で手を振っているのではないかと思うことがあります)
☆☆
デイヴのあからさまな問題行動は、本当は、愛を求めていました。
『奇跡のコース』では、全ての人間の行動は、純粋な愛の表現か、愛を求める行動のいずれかであると言っています。
ネガティヴで常軌を逸しているように見える言動は、むしろ、愛を歎願している行為であると解釈すべきなのです。
その行為に対して、罪や復讐をもって押しつぶそうとするより、求められた愛で答えるべきなのです。
それが、人間の悲しみや暗い感情を癒すための唯一の方法です。
そして、この揺るぎない原理は、あなた自身の愛を求める行動にも当てはまります。
馬鹿げたミスをしてしまった、優しくない行動をしてしまった、どうしても依存してやめられない、などと、あなたは自分を責め続けているかもしれません。
自分を打ちのめし、過ちに対して罪の意識を持ち続けているかもしれません。。
しかし、もしそれら全てが、単に愛を求めるが故の未熟なやり方だったとしたらどうでしょう。
罪や自分を罰することを求めるのではなく、自分をより大切にしたいと思うなら、どうすればよいのでしょう。
過ちとは、あなたが厳しく罰せられるに値すると示しているのではありません。
ただ、癒しを無垢に求めているだけなのです。
私たちは皆、たくさんの間違いをおかします。
そして、愛を見つけようと、外側の世界で奇妙な探し方をします。
それが期待はずれに終わると、他人や自分自身を責めてしまうのです。
しかしそれは、私たちが、自分自身にこそ与えるべき愛を、外側に求めていることを意味します。
つまりは、自分自身を大切にしさえすれば、自分の人間関係における痛みや後悔の多くは癒されます。自分を律することにがむしゃらになるのではなく、それよりも、自分自身をゆったりと受け入れるべきなのです。
私たちそれぞれの中には、癒しのルームに入ろうとした、内なる「デイヴ」がいます。
それぞれの「デイヴ」を喜んで迎え入れようと、癒しのルームは、内側にすでに用意されているのです。
目に見えているものだけが、人生ではありません。
全てには、もっと深い理由があるのです。
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