暗い洞窟を抜け出せば、そこには眩い哲学の光が待っている! | チャンクロブックスー教養人への冒険

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哲学書を読めるようになりたいと思うものの、抽象的なことばかり書いてあって何とも近づきがたいという人は少なくないと思います。

 

 

哲学書を読めたら頭がよくなるのだろうなと漠然と思っている人も少なくないと思います。

 

また、そんなときもっと抽象度が上がって賢くなればいいのにと思うことはあるかと思います。

 

では、頭がよくなっていくとは実際にどんな感じなのでしょうか。抽象度が高くなるとはどういう感じなのでしょうか。また、それに何かコツでもあるのでしょうか。

 

 

*抽象度を上げるにはこちらもおすすめ!

 

 

 

 

古代の哲学者プラトンの洞窟の比喩が抽象度を上げることの秀逸な説明になっているかと思います。

 

 

まずプラトンは洞窟の中に住んでいる人を想像してみろと言います。

 

 

「地下にある洞窟状の住まいのなかにいる人間たちを思い描いてもらおう。…そのような状態に置かれた囚人たちは、自分自身やお互いどうしについて、自分たちの正面にある洞窟の一部に火の光で投影される影のほかに、何か別なものを見たことがあると君は思うかね?」(プラトン『国家』第7巻514A-515A)

 

 

鍾乳洞のイラスト

 

 

今でいうと自分の後ろにある映写機から映し出されるスクリーン上の映像をリアルで真実なものだと思ってじっと見ているといった感じです。ではスクリーン上の映像は実は映写機から映し出された映像だと気づいていない人たちにスクリーンから映写機のほうに目を向けさせたらどうなるのでしょうか。プラトンはこんな風に話を進めます。

 

 

映写機のイラスト(映画)

 

 

「彼らの一人が、あるとき縛めを解かれたとしよう。そして急に立ち上がって首をめぐらすようにと、また歩いて火の光のほうを仰ぎ見るようにと、強制されるとしよう。そういったことをするのは、彼にとって、どれもこれも苦痛であろうし、以前には影だけを見ていたものの実物を見ようとしても、目がくらんでよく見定めることができないだろう。そのとき、ある人が彼に向って、『お前が以前に見ていたのは、愚にもつかぬものだった。しかしいまは、お前は以前よりも実物に近づいて、もっと実在性のあるもののほうへ向かっているのだから、前よりも正しく、ものを見ているのだ』と説明するとしたら、彼はいったい何と言うと思うかね?そしてさらにその人が、通りすぎて行く事物のひとつひとつを彼に指し示して、それが何であるかをたずね、むりやりにでも答えさせるとしたらどうだろう?彼は困惑して、以前に見ていたもの〔影〕のほうが、いま指し示されているものよりも真実性があると、そう考えるだろうとは思わないかね?」(プラトン『国家』第7巻、515C)

 

 

なんともせっかく真理(イデア)の影でなく、真理(イデア)を見る機会を得たのに、その印象が眩しすぎてちゃんと真理を見ることができないのです。ましてや以前見ていた影のほうを真実だと思い込んでしまうのです。しかもイデアを眩しくて見ることのできない囚人はせっかくイデアを見せてくれた人をありがた迷惑だと言わんばかりに隙あらば、殺そうとします。

 

 

「こうして彼ら(囚人:引用者)は、囚人を解放して上のほうへ連れて行こうと企てる者に対して、もしこれを何とかして手のうちに捕らえて殺すことができるならば、殺してしまうのではないだろうか?」(プラトン『国家』第7巻、517A)

 

 

では、こんな一歩間違えれば大変なことになってしまう状況でこの眩い光を発してやまない真理をどのように我々は見ればいいのでしょうか。ここでプラトンは意外な答えを提示します。

 

 

「だから、思うに、上方の世界の事物を見ようとするならば、慣れというものがどうしても必要だろう。」(プラトン『国家』第7巻516A)

 

 

そう答えは「慣れ」なのです。イデアの光をちゃんと見定めるには慣れが必要なのです。人によってはなんとも古代の大哲学者にしては拍子抜けといった感じでしょうか。

 

哲学書を読んで、いっきに真理を知れたらという壮大な願望を我々は抱きがちですが、それは土台無理な話なのです。

 

(教師は生徒に自分の真理を一気に伝えられたらと夢想しがちですが、これも無理です。)

 

徐々に真理(イデア)の光に慣れていって以前見ていたものが、真理(影)だったのだと気づくしかないのです。だんだん目が慣れることで以前よりも多くのことを見渡せるかと思います。

 

勉強の基本は繰り返すことだと言われるかと思いますが、その時大事なのは次のことなのではないでしょうか。

 

一回目の勉強ではよく分からなかったことでもそのときに分かったかすかな光をヒントに、その光に復習を通じて徐々に慣れていって、おおもとの光をつかんでいくことなのではないでしょうか。

 

度重なる復習の果てに、いかに自分が真理の影ばかり追っていたかに気づいていくのが学ぶということなのでしょう。

 

哲学という壮大な壁を徐々に慣れ親しむことで、真理へと登っていきましょう!

 

*プラトンなり哲学者の考えというと何とも複雑怪奇な印象を持ちがちですが、このようにわかりやすい例えを自分の中に落とし込めれば、何を言わんとしていたのか以前よりも馴染み深くなるのではないでしょうか。これも一種の慣れです。

 

*参考文献

プラトンの代表作ですね!

 

 

 

*『国家』は長いので、最初はこちらから読みましょう!

 

 

 

*といって、いきなり原典はきついという人はまんがや新書で全体像をなんとなく知ってから、原典にトライしましょう!
「慣れ」を積み重ねましょう!

 

 

 

 

 

 

*NHK100分de名著の解説動画です!

 

 

プラトンの洞窟の比喩の解説動画としてなかなかのクオリティだと思います。100分de名著シリーズはさっくと古典の全体像を知るには良い番組だと思います。他にもたくさん上がっているので気になったものを調べてみてください。こういう番組を作るからNHKは侮れないです。といってこれが思いきっし、番組編集者の意図が入った洗脳だということをお忘れなく。こういう分かりやすい動画でイメージを作ったら、さっさと実際に本を読みましょう!

 

 

 

 

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一緒に本を読む子供たちのイラスト

 

 

 

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