悪女学研究所 やまとなでしこ部長の桜子(さくらこ)でございます。
夏の、しんと静かな夜。,.
月あかりの幽かな光を頼りに。
歩いてみました。
虫の声が聞こえ、
ゆらりと、たちのぼる草の匂い。
五感だけが、研ぎ澄まされていくようで。
呑み込まれそうに広がる足元の闇に、
不思議に恐怖感はありません。
闇という風景のなかで、ほど良い夢を見ているよう・・・・
なぜかほっと、安堵する私でございました。
「陰影礼賛」のなかで、文豪谷崎は、
『日本の漆器や蒔絵の美しさは、
ぼんやりとした薄明かりや、闇に浮かびあがる
加減を考慮して作られている。
漆器の、黒や茶の肌は、幾重もの「闇」が蓄積した色であり、
周囲を包む暗黒のなかから、必然的に生まれ出たものである』
。。。と、書いていらっしゃいます。
陰影礼賛の描く「闇」は、あたたかく、色があり、
日本の美の本質でもあるのですね。
光だけではなく、闇に美を感じいる幽玄な美意識を
悪女としても、学んでみたいとと思います。
いまは闇に出会うことも、少のうございます。
電飾やイルミネーションは、ときに饒舌すぎて。
桜子の闇の楽しみ方は・・・
夜景が窓の外に広がる、清潔でラグジュアリーなホテルで
部屋の照明を落とし、静寂にします。
深い帳のなかの、粒子の煌きを、聴きたいと思います。