あくび@TOKYO-entrance
ちょっと前の記事ですが…。
観たいと思っていた「ユベール・ロベールー時間の庭」展と「ピラネージの牢獄」展が
20日で終わってしまうことに気づいて、ばたばたと国立西洋美術館へ。
KORIN展といい、駆け込み続きです。

ユベール・ロベールは、10年以上に及ぶローマ留学中に描いた古代遺跡や建築の素描を
もとに、空想的な風景画を多数残した18世紀の「廃墟の画家」。
フランス国王お抱えの庭園デザイナーでもあったそうです。

崩れた柱がひっそりと草むらに横たわる遺跡と、洗濯や物売りにいそしむ人々を
組み合わせた作品が多くて、悠久から今にいたる時間や空間の広がりを感じさせます。
鄙びた自然や庭園を描いた作品も多数あって、タイトル通り「時間の庭」でありました。

あくび@TOKYO-piranesiで、こちらも面白かったんですが、個人的により興味深かった
のが「牢獄」。ロベールと同時代の版画家/建築家、ピラネージによる銅版画の連作です。

ロンドンのサー・ジョン・ソーンズ美術館で観た時もそうでしたが、ピラネージの作品は精確で力強く、でもロマンチックな香りもして、どこか想像力をかきたてられます。

彼の空想世界「牢獄」も、狭い空間に鉄格子のはまった現実の
牢獄とは大違い! 古代ローマを思わせる巨大な柱や梁、
ギリシャ彫刻みたいなボディの看守(?)たちによる、
みじめさや悲惨さとは無縁な、大胆で男性的な世界です。


解説によるとピラネージはムダな装飾が一切なく、柱などの建築の基礎部分をストレートに
見せた力強い表現ができるため、テーマに牢獄を選んだのではと書いてありました。
なるほどー。
また当時は、牢獄の舞台演出(だったかな)がなぜかトレンドだったらしい。

版画は第1版と、それに大きく加筆し、さらに2枚を新たに加えた第2版がありましたが、第2版のほうが明暗のコントラストが強くて、ドラマチック。これでもか、とばかりに重厚な世界観に
圧倒されました。