あくび@TOKYO-redon

ちょっと前ですが「ルドンとその周辺ー夢見る世紀末」展を観てきました
@三菱一号館美術館。

三菱一号館美術館は初めてでしたが、れんが造りの重厚な雰囲気にシンプル・モダンさが
加わって、とても感じが良かったです。
すごく大きいわけでもなく、さりとて小さすぎないサイズも週末にゆっくり鑑賞する       
のにぴったりでした。

展示は、初期のリトグラフ作品をまとめた「ルドンの黒」、パステルや油絵に移行した時代
の「色彩のルドン」、ルドンに影響を受けた象徴主義アーティストたちによる「ルドンの
周辺」の三部構成。

にやっと笑ったユーモラスな蜘蛛や、人の顔のついた花、鬼太郎のオヤジみたいな目玉の
精霊。何を暗示しているのかはわからないながら、夢がそのまま表現されたみたいな
リトグラフについつい見入ってしまいます。
神話のような荘厳な雰囲気の、巫女たちや女性の横顔のリトグラフも美しかったー。

油絵では、優しい光がこぼれているような花の絵がなんたって一番。
(ルドンと言ったら「花」ですよね、やっぱり?)
中でも展示のトリを飾った、ルドンのパトロンだったドムシー男爵のお城の食堂用に
描かれた「グラン・ブーケ」は圧巻でした。
「グラン」だけあって、でかい!
縦約2.5メートル、横1.6メートルの大作です。

絵のてっぺんに届きそうなひまわりを始め、鮮やかな青の大花瓶にあふれるように
生けられた黄、オレンジ、青の花々。ひまわり以外はきっちりと輪郭がとられて
いなくてぼかし気味に描かれているせいか、彼が若かりし頃に描いた精霊や絵全体を
はねまわっているような、幻想的なパワーを感じました。
「美しい」のはもちろんなんですが、それだけではない精神的な広がり、深さが
あるような。百聞は一見にしかず、ぜひご覧いただきたいです。