今日で5回目となる国本はる乃さんの勉強会。今回は初めてゲストを迎える。曲師は沢村豊子師匠。
国本はる乃          「将軍の母」
春風亭ぴっかり   「悋気の独楽」
国本はる乃          「出世の草鞋」
はる乃さんの一席目は三代将軍家光の世嗣を産んだ京都の八百屋の娘お玉の話。大奥で器量良しではなく時にはいじめられたりしながらも、心を込めてご奉公するお玉が大きな出世を遂げ、父親も大名に取り立てられる、というお話。なぜか声があまり出ておらず心配になったが、終盤持ち直した。
ぴっかりさんはゲストの分を守って軽いお話でご機嫌を伺った、というところ。目を瞑って聞かなきゃいけないのが彼女の高座の辛いところ。彼女の姿を見ていたらイメージが結ぶ活動が妨げられる。マイナスだと思うなあ。
はる乃さんの二席目は今月のネタおろし。いくつかネタおろしらしいミスもあったが一席目よりも声もよく出て節も回り合格点以上の出来だと思う。伊勢屋の主人五平は一代で財を成した立志伝中の人で、自分の出身地伊勢から毎年2~3人の子供を呼び寄せ商人として育てるのが趣味。今年も三人の子供が到着したが、一人だけ自分の草鞋を洗って再度履こうとする子がいて、またこの子だけがきちんと挨拶する。伊勢屋は余程しっかりした子なのか?親に言われた通り主人の機嫌取りしている子なのか?と訝しむ。この12歳の吉松に以来6年にわたって五平がわざと試練を与える。吉松は親の反対を押し切って江戸へ出たので、親と一人前にならなければ帰らないと約束している。吉松は見事この試練に耐え、五平は大晦日の夜に吉松を呼び大番頭に取り立て行く行くは養子として後継にすると告げ、辛く当たっていたのではなく試練を与えていたことを話す。終盤で昼飯晩飯抜きで井戸へ3度も水汲みにやられ、くじけそうな自分と戦う吉松がいじらしい。予想もしなかった後継者指名を受けて、良かったねと思わず心で呟いてしまう。六十過ぎの親爺にそう思わせるんだから、はる乃さん、お見事。