仏説身体経 | ジャズと密教 傑作選

ジャズと密教 傑作選

空海とサイババとチャーリー・パーカーの出てくるお話です

如是我聞

無尽意菩薩はカシミール地方の茶を飲む
釈尊はただ黙す

無尽意菩薩は問う

釈尊よ、茶をいかがですか
釈尊は応えない

無尽意菩薩は語る

意志を持った行為は運動であり
そしてそれは精神にとって必須の運動である

今こうしてわたしが茶を飲めば
眼耳鼻舌身胃がそれぞれ働き
心王に沸き立つのは仏の境地である

わたしが今ここでバジャンを歌えば
舌と喉と腹筋がコントロールされ
我が脳髄には仏の境地が発現する

よこしまなバジャンは独善と慢心を生む
それならばまだしも
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカのうちにむしろ
より真実を見出すことができるであろう
(真夜中のギターもいいが)

話がそれたが釈尊よ
どうしてあなたは茶を飲まないのですか
行為のうちにこそ仏性への道筋が隠されているというのに
釈尊は身じろぎひとつしない

無尽意菩薩は力説する

行為ならびに運動こそが我らの心を仏性へと導くのである
その細部に施される刺激によって内なる感得がもたらされる

そのとき釈尊は眼を開き
大音声が三界に響き渡る

否応なしに肉体を持った者たちよ
心と体は不可分である
仏に導かれるまま
肉体の生成に励むがよい

スタディ・サークルだとか能書きを言ってないで
ただ歌い、ただ踊るのである

これぞ我が説くところの
歌って踊れる仏説身体経である

そのとき大会(だいえ)この経を説き給うを聞き
皆大いに歓喜して信受し奉行するのであった


        ※          ※          ※


なんなのでしょうかこれは。

経典にしてはあまりにも出来が悪すぎますね。きっと経典編集会議で没になったんでしょうね。で、今まで日の目を見なかったというわけです。

どこで見つけたのかって?わたしの書斎の引き出しの中ですけど....。