拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。


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拝啓、ステージの神様。


またまた発見がいっぱいのワークショップを取材しました。そのレポート第二弾です。





角川研究室」ワークショップ・レポート②
台詞と歌詞と振りのライン
                                      2014.7.30


「和製ミュージカル映画をきっかけに、日本のミュージカルファンをもっと広げたい」
この思いを胸にミュージカル映画監督として活動する角川裕明氏が開催したワークショップ「角川研究室」をふたたび取材した。



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相手に委ねること、反応を感じること


6月から開催してきた同ワークショップの3回目となる今回は、男女合わせて9名が都内某スタジオに集まった。
キャリアもフィールドもさまざな参加者たち。

全3回、皆勤賞の人、前回に続き2回目の参加となる人、そして今回が初参加の人が入り交じり、緊張の度合いもいろいろなのがみてとれる。そもそも初参加の人は、「ミュージカル映画のワークショップってどんなことをするのだろう?」という、探るような気持ちだったに違いない。


そんな参加者たちが言葉や体を使ったシアターゲームで、心と体をほぐしていくところから今回もスタートした。
どのようなメニューを使用するかは、角川が自身でこれまでに体験したものや、リサーチしたことを基にセレクトされている。
どのメニューも、自分以外の相手を信頼して委ねること、相手の反応を感じることが要求される。それは、役者が作品を作るときに核となることでもある。
自身も役者として、数々の舞台に立っている角川だからこそ大切にしたい感覚なのだ。
個性も必要、技能も大切、しかし、演じるという作業で必要とされるスキルは何であるかをこうしたウォーミングアップの段階からメッセージしていた。


ダンサーで振付師として活躍する高田たみ子さんによる身体のウォーミングアップが引き続き行われた。

シアターゲーム以上にとまどいを見せる者も多い。

自由に体を動かすことは、実は何より難しく、体の動きは思考や想像力にいかに直結しているのかがわかるのだ。
とまどいは、そのまま動きに表れ、少し余裕のある者は、そこからもっと解放することの難しさにも直面しただろう。



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立ちはだかるギザギザの壁


ウォーミングアップを終え、いよいよ曲を使ったワークショップが始まる。
今回題材として使用されるのは、某国民的グループの代表曲の一つ。
おそらく、大半の人はそのフレーズを口ずさめるのではないだろうか。


登場人物は3人。簡単な背景と場面、そして台詞が用意されている。
台詞の後にイントロが流れ、歌うフレーズがA、B、Cで割り振られている。


角川はどのパート(A、B、C)を担当したいかを挙手制にした。
それはとても興味深い光景だ。挙手制にした理由は、後でこっそり聞いた。
振り分けはほぼスムーズに進み、3人1組のチームに分かれる。
彼らがなぜそれぞれそのパートを選んだのかを聞いてみればよかったと少し後悔している。


まずは台詞の読み合わせ。
10年以上ぶりに集まった芸能スクール系の仲間たちのうちの3人という設定。
参加者にとっては比較的リアルな設定だろう。

ディスカッションはなく、読み合わせが繰り返される。読み合わせながら、互いの関係性や、与えられた設定の見えていない部分を探っていく。


役作りのための十分な時間は与えられない。その状況で、いかに相手を感じ、自分の役を深めていくのか。
読解力、想像力、瞬発力、それ以外のさまざまな力が試される。

「委ねる力があるからこそできることがたくさんある」
シアターゲームの時にメッセージしていた角川の言葉が、3組9人のその状況に、どのように作用していただろうか。


台詞の後は歌練習が続く。
「歌詞は台詞だ」は、角川の言葉であり、ワークショップの肝でもある。
しかし、あまりに有名な曲であることが、参加者の壁になる。
リスナーとして聴いてきた曲の一部を台詞として歌うには、何回、何百回、何万回と繰り返すほどの工程が本当は必要なのかもしれない。


しかし、4時間という限られた時間で、ワークショップは行われている。
歌に続いて、歌詞の後半部分にはダンスが振り付けられる。
さらに高い壁が、いや高いというよりギザギザとした壁といったほうがいいだろうか。
振りは歌詞に即した、これも比較的わかりやすい動きにしたものが伝えられた。


台詞から歌の歌詞まで、感情をつなげること。なぜ自分がそれをしゃべるのか、歌うのか、そして振りをしているのか、そのラインがつながらないとちぐはぐになってしまうのだ。


研究室と名付けた意味


少しの休憩を挟んで、3組それぞれの発表が行われる。
これを映像に撮り、その後チェックするのである。
映像に撮るために、立ち位置(範囲)や動きがいくつか設定される。
ギザギザとした壁を前に、参加者のチャレンジが続いた。


セミの鳴き声、電車の通過音、若者が多く集まる街。
偶然とはいえ、その場面を象徴するような設定や効果音がそこにはあった。


各組の映像発表と個人の感想を踏まえ、角川が感じたことをアドバイスした。
「台詞から歌になった時にキャラクターが変わってしまっていないか」
「自分の中でだけ歌ってしまっていないか」
「自分が歌っていないシーンが、ただのしじまになっていないか」



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いわゆるイメージとしてよく語られるミュージカルやミュージカル映画の、大袈裟で突拍子もない感じを払しょくするにはどうするべきか。
自然な演技が要求されるが、ただ自然なだけでは、「だったら歌わなくてもいいのでは?」ということになる。
だからこそ、台詞、歌、振りが一本のラインで繋がっていることが必要なのだ。



このワークショップには「角川研究室」という名がつけられている。
参加者が得られたものは、手応えという成果よりも、探究を続けるための入口だったのではないだろうか。
「台詞を発すること、歌詞を歌うこと、振りや動きをつけること。これらを一つのラインでしっかり繋いで表現するというトライは、役者として面白い作業のはず」と、角川は参加者の背中を最後にやさしく、強く押した。


それは同時に、和製ミュージカル映画の代表作を創りたいという、角川自身の前に立ちはだかる壁への探究心と宣言にも聞こえた。


(演劇ライター 栗原晶子)

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