言ってほしい言葉だけを
いつでも差し出せるわけではないよ

基本的に目の前の人にはよろこんでいただきたいと思ってはいるけれども、
それでも全てを叶えられるとはかぎらない

特にあなたが
あなたに都合のいいことばを欲しがっているときには、
私はそれを差し出すわけにはいかない。分かってはいても



冷たいかな?

自分が逆の立場なら
決してそんなことはないと速攻でかぶりを振れるけれども、
自分ごとになると不安なものだね


ひどい人かな?

そんな不安を押し込めてでも選んだものだと
分かってもらえたならうれしいけれども、
分かってもらえなくても私は
あなたの希望とは違うものを投げるしかない




できれば
やる気がわくような

できれば
落ち込んでいた気持ちがおさまるような

できれば
あきらめかけていた心にもう一度火が点(とも)るような

できれば
あなたがまた奮い立てるような

そんなものになってほしい

そう願いながら
今のあなたの意には沿わないものを投げつづける




それらは一見決してやさしそうではないから
あなたは一時がっかりするかもしれないね


でも、
あなたがほしいやさしい言葉よりも
確実にあなたをまえへとすすませてくれるはず

(あぁ、それはあなたがちゃんと受け取ってくれた場合だけど)





もう無理、って思ったときに無理になる
もうダメ、って思ったときからダメになる

ダメにしているのは、自分自身なんだ



でもね、
分かるよ
そう思ってしまう気持ちも


もうね、
まぶたの裏に残像のように
染み付いているんだよね
そういう絵面(えづら)が


先を見ようとできるあなただから
そうなっちゃうのかもしれない

皮肉だよね



だからこそ
やさしい言葉で共感して
一時ホッと安心するよりも

「なにくそっ」って思えるよう
「見返してやる」って思ってもらえるよう
言ってほしくはないかもしれない言葉を投げつづけるよ



あなたを奮い立たせるために
あなたの意に沿わない言葉を投げつづけるよ


渾身の想いで