ベルト・モリゾ《黒いドレスの女性(観劇の前)》
今日の一枚のアートは、ベルト・モリゾ (1841ー1895)《黒いドレスの女性(観劇の前)》1875 国立西洋美術館蔵。
これは印象派のフランス人女性画家、ベルト・モリゾの作品。普通は常設展にある作品ですが、特別展「スペインのイメージ」の中にありました。9月3日(日)まで開催中です。
■作品紹介
●《黒いドレスの女性(観劇の前)》 1875年
この1875年は、パリでオペラ座(オペラ・ガルニエ)が完成した年です。
ドレスアップして、芝居を観に行くというのは、当時の一番イケてることでした。
富裕層のモリゾは自分のドレスを、細身のモデルに着せてこの絵を製作。
衣装の裾が広がっていて、モデルのシルエットが三角形の構図になり、上半身の細さが目立ちます。ドレスの黒い色も相まってモデルのシャープさが際立っ表現されているようですね。
数少ないモチーフも、手が込んでいます。
黒のドレスに対しての白い手袋。手にはオペラグラスの小さいけれど、硬い直線と円形でできた形。
ドレスには薄黄色のバラが散りばめられています。
▼部分
黒だけではなく、そんな明るい色があることで、画面には若々しく、優雅な印象も加わっています。
モリゾはフランス、印象派の女性画家。印象派展には第4回を除いて、熱心に出品されています。
また、この作品を作る前年、画家のマネの弟のウジェーヌと結婚。
マネには強い影響を受け、さらにしばしば、彼のモデルにもなっています。
●エドゥアール・マネ 《ベルト・モリゾの肖像》リトグラフ 1872−74(1884)国立西洋美術館蔵
ということで、
会場にはマネがモリゾをモデルにしたこのリトグラフが、彼女の作品の脇に飾ってありました。
とても綺麗な人だったんですね。
彼女の素直な感じの作風に、育ちの良さがあらわれているようです。
何しろモリゾのお父さんはフランスのブーリュジュの市長。母親は画家のフラゴナールの遠縁に当たる方。
本当の富裕層だったんですね。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。
参考資料
『西洋絵画作品名辞典』1996年 三省堂
『国立美術館ガイド3 国立西洋美術館の名作』2019年 岡崎素子 独立行政法人国立美術館