AKKAの川上です。
大規模マンションの共用施設の改修でインテリアデザインを担当したので、2回に分けてレポートしたいと思います。
今回の物件は築20年を超えた1000世帯近くある大規模マンションの共用施設。
元々ナースリーとして多くの子供達が使用していたスペースですが、住民の構成も変わってナースリー業者が撤退したままになっていたところを、管理組合が様々な協議を経て、幅広い年齢層の住民が使用できる「多目的スペース」を作ろう、ということに。
内訳としては、貸し切ってヨガやダンスなどができる多目的スペースA、卓球台が置いてあるスペースB、自由に利用できるラウンジ、勉強や仕事ができるワークスペース、住民専用のコインランドリーと多岐に渡ります。
管理会社は、既存の共用施設の内装を綺麗にする(壁紙や床材の交換)プチリノベーションはやるものの、ここまで大規模なリノベーションは初めて。
また、内装材や家具什器などを決めるのも輪番制で回ってきた理事の方々でやらなくてはならないということで、内装デザインや家具の選定などのデザインをプロとして担当させていただきました。
このマンションは大きな魅力的な中庭があり、ランドスケープは建築家隈研吾が手がけたもの。季節によって草花が咲き乱れ、広い芝生があり小さいお子さんからシニアの方々まで憩いの場となっています。
その中庭がちょうど見える絶好の場所にあるスペースなので、中庭とのつながりや眺望を生かした内装を提案しました。
コンセプトは『自然美に寄り添うコミュニケーションスペース』。
中庭の植物を感じるリラクゼーションとコミュニケーションの空間。
自然との融合を感じ、緑のオアシスのような場所。
季節を感じ、人との触れ合いも感じ、住民の皆様の笑顔が溢れる空間に。
まずは現場のBeforeを。
大きな抜くことができない柱、勾配天井、傷んだ壁紙、蛍光灯。
こちらの写真の右側にはお昼寝部屋やキッチン、トイレなどがありました。
何年も使われていないのでかなりゴミや汚れもありました。
ここでのポイントは勾配天井、抜けない柱の活かし方、大きな窓から見える眺望の活かし方。
そこで勾配天井を木目にして木に囲まれたようなメインになる印象に、そして壁はグリーンを使って中庭の自然を繋ぐ内装でパースを作って提案しました。
パースを見せるまでは「特に普通でいいと思う。明るい感じであれば」というご意見もありましたが、白の壁とグリーンの壁の違いを見て、グリーンの壁を見た時のワクワクした反応!!
白の壁だと無機質さを感じてしまいますね。
グリーンにすることで外の緑との一体感が出て、グッと印象的なスペースに。
改めて色の力って大きいなと感じました。
とはグリーンと言ってもいろいろなトーンや色味があり、そこのご説明。
こちらは黄緑系。
親しみやすい、ややカジュアルな印象になります。
すでに中庭にある子供用の遊び場の内装で黄緑系を使っているので、そことの差別化もしたいので、もう少し大人っぽくしたいと説明。
こちらは青緑系のソフトトーンの色。
黄緑よりは大人っぽくなりますが、広い面積で使用すると面積効果でやや薄く感じるため、あまり印象に残らなかったり、少し地味な印象になる可能性があるのが懸念点。
こちらはややダークな青みの緑。これをAKKAとしては一押し。
子供用施設と差別化しグッと大人っぽさ、洗練さ、そしてかっこよさも出せるため、老若男女に受け入れられる空間を演出します。
一緒に使う白は、少しグレーがかった白を使うことで、モルタル調に変える既存の柱との統一感と、くすみのあるダークグリーンとつながります。
甘すぎず、でも中庭の緑ともリンクし、飽きが来ない上質な空間を長く提供できると考えました。
続きます。