スマート: キーラン・ウッズの事件簿

著者 :     評論社

 

スマート キーラン・ウッズの事件簿 [ キム・スレイター ]

「サイド・トラック」を紹介したときに取り上げていましたが、これもおすすめなので改めて紹介しますね。

 

 

 

ちょっと前にLGBTは人口の約1割。左利きの人と同じぐらいの割合だと書きましたが、発達障害もその程度。

グレーゾーンも含めたら2割程度になるそうです。

 

本人や周りの人たちの困り具合ってのもありますけど、「個性」と捉えていいところを伸ばしていけるような柔軟な環境なら、本人も周りもハッピーでいられるんじゃないかと思います。

 

 

この物語の主人公キーランも、〇〇障害とは明記されてはいませんが、学校では補助教師がついている子。

家では継父と兄(継父の息子)に罵詈雑言を浴びせられています。

 

でも”スマート”なんです。←イギリス英語ですよねぇ(笑)。

 

 

作者のキムスレイターのデビュー作。英米文学作家の層の厚さを感じさせられます。

 

 

 

 

*******

 

キーランの友人、ホームレスのジーンさんが川岸で泣いていた。

「あの人(川の中に浮いている水死体)は、あたしの友だちだったんだよ」。

 

イギリスのノッティンガムに住む9年生の少年キーランは、警察が事故で処理しようとしたこの出来事を殺人事件の可能性ありとして独自に調査を始める。


母と、継父とその息子と4人で暮らす彼は、人と少し違ったところがあるために学校では補助教師がついているが、画才があり、見たことを瞬間的に記憶し描くことができた。


ちょっと変わったところのある少年キーランが、コリンさん殺人事件(?)の謎、乱暴な継父とその息子からの自分と母の保護、会えなくなってしまった祖母の捜索等々に奮闘する姿を描くミステリー。


殺人事件や犯罪・DVを扱いながらも、素直で前向きな少年の視線で描かれているので、読後感も良いですよ。