空家 順太郎。 | 憂いのゴキブリ

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日記の内容は全て著者の妄想です。

惰性と呼ぶとしても、あまりに力弱い進行だったが、
それでも時間と共に流れる変わらない日々を省みるために日記をつけてみようと思う。
 
 

空家順太郎(アキヤジュンタロウ)、29歳、高卒。
ブルースカイの「空」に大草原の小さな家の「家」、そして「順太郎」。
 
 
 
六畳一間のアパートで一人暮らしをしている。
先日まで勤めていたドムドムバーガーが、デフレスパイラルの影響で潰れてしまって今日から無職だ。
これが不況というやつなのか。

非建設的で無生産の毎日。

趣味といえば人より少し上手い程度のシューティングゲーム。
前世はフリードリッヒ・ニーチェ。
好きな芸能人はデビュー当時の辻希美。

他人に迷惑をかけていないのと少々の友人がいることが救いだろうか。
もちろん夢だ希望だといった類のものは数年前から考えたこともない。

ただひたすらに消化…消化…。
 
 
 
高3の頃、ルーズリーフの隅に走り書きした詩を見た友人の青崎が言ったっけ?

「やっぱりお前は普通の奴とはどこか違うよ。
勉強なんてほとんどしていない割には成績もいいしさ、きっと将来大物になるよ。」

ごめんな、青崎…オマエの期待にはこれっぽっちも応えられていないよ。
今日も三食ペヤングソース焼きそばの日々だよ。
明日は久々にGooTaが食べられるかな?

そう言えば、オマエが好きだったインディーズの青春パンクバンド…
…なんて言ったっけ?そうだ、キックベース21だっけ?
きっとあいつらはメジャーでも通用するって言ってたよな…

ヴォーカルの坊主頭が昨日、横浜駅の有料トイレで首を吊って死んでいたそうだよ。
さっき2ちゃんねるのニュー速板にスレッドが立っていたよ。

青崎…オマエは確かに凡人だったけれど、1浪して早稲田の政経に入って銀行員になっているそうだね。
オマエは努力家だったもんな。
こないだは同窓会誘ってくれたのに行けなくてごめんな。
 


・・・カーテンの隙間から南中を終えた太陽が僕をあざ笑うかのように照らしている。
テレビをつけると、昨日からマドハンドを倒し続けていた僕の分身はレベル57に上がっていた。
もうエスターク…倒せるかな?

今日はこれからハイパーダッシュモーター(公式戦使用不可)の折れた金具をハンダ付けします。