前号で、市長が請求した再議の根拠は、「誤った情報を載せた議会だよりを発行することは、議会基本条例に違反する」であることを確認しました。

結局市長の主張する「誤った情報」の是非が問題になります。



5.議会広報誌の「それなりにやっているが」は誤った記述?


市長は、議会答弁で自分と元市長の陳情・要望回数を紹介し、



(元市長が)必死に勉強して80点という横で、いや、(市長は)勉強してないけど100点取っちゃいましたみたいな。



と発言し、自分の優秀性を誇示していました。



この答弁に対して、議会広報誌は「それなりにやっているが」と記述したのです。

市長は「それが誤りだ」と主張しているのです。



確かに、市長は答弁の中で、元市長を上回る陳情・要望回数を紹介しています。

しかし、令和4年6月以降今日までの「市長の動向」を見ればわかるとおり、市長は県知事と面談した記録は1回もありません。

県庁での県幹部職員との面談も、わずかに2回しかありません。

当然これ以前の状況もほとんど変わってはいなかったでしょう。

議会もこうした実態を知っているからこそ、「それなりにやっているが」という書きぶりにしかならなかったのが容易に想像できます。



また、市長からの指摘を受けても、議会が「紙面の都合からすれば、当たらずとも遠からず」と判断したことは許容の範囲でしょう。



市長も、「それなりにやっているが」が誤りだと主張し、議会だよりの発行費を全額削除する暴挙に出るのであれば、出張命令簿の写しを付けて、自分の主張が事実であることぐらいの証明はすべきです。

職員に元市長と自分の陳情・要望回数を数えさせたぐらいですから、これくらい
の作業は容易にできるはずです。

臨時議会の場で是非とも開示してほしいものです。



今回も、「恫喝発言のでっち上げ」の時と同様に、マスコミの前で「誤りだ」と繰り返し強弁することで、真実であるかのように情報操作をし、ネット向けの動画のネタを提供していることが手に取るようにわかります。



6.「予算発案権と議会の修正」とは


地方自治法第149条第2号において、「予算を調製し、これを執行すること」は、市長の担任事務とされています。

一方で、議会は、予算案を審議し可決または否決しますが、地方自治法第97条第2項において、市長の予算発案権を犯さない範囲内で増額して議決することができると規定されています。



問題となるのは、市長の予算発案権との関係で、議会はどこまで予算の修正ができるのかということです。


(以下、次号に続く)