市長は控訴の趣旨について、総務部長をして次のように発言させています。



原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。(その他賠償金及び訴訟費用についても言及)



つまり、1審判決で、市長が市長の職務を行うにあたり名誉を棄損するという違法な行為をしたことによって、安芸高田市が敗訴した部分の取り消しを求めているのです。




また、市長は議会で控訴理由について、次のとおり1回だけ触れています。



いわれのない損害賠償を受け入れることは当然できない。

血税ですので。当然の責任として控訴した。




窮地に陥った市長が、カメラの先の支持者を意識して「から元気」を出し、「啖呵を切っている」ことがよくわかります。


① 市長が「恫喝された」と大ウソをでっち上げ、名誉を棄損するという違法な行為をしたことが原因で生じた損害賠償を、「いわれのない損害賠償」とよく居直ることができるとあきれ果てます。


② 安芸高田市は、今年度当初予算で弁護士委託料として、2,284千円計上していました。

ところが、昨年の12月の定例議会で、議員が求めた説明を拒否して、1,200千円を補正追加しています。

安芸高田市は2件の裁判を抱えているようですが、その弁護士費用は合わせて3,484千円にもなります。

12月補正は明らかに今回の敗訴を見込んだ補正予算ですから、今回の裁判に係る費用は少なく見積もっても、弁護士委託料だけで200万円を優に超えるでしょう。

市長こそ「血税」を無駄に使っている自覚が全くないことがよくわかります。


③ ①及び②の理由から、市長が「当然の責任として」やらなければいけないことは、


ア 1審判決を受け入れ、控訴を取り下げる。


イ 33万円の賠償金に、安芸高田市がこれまでの裁判に要した費用を加えた額を安芸高田市に賠償する。


ウ 山根議員に陳謝する。


ということ以外にないでしょう。



さて、市長が控訴に伴って提出した控訴状は、記入例にある通り、


① 原判決を取り消す。


② 被告訴人の請求を棄却する。


③ 訴訟費用は,第1、第2審とも被控訴人の負担とする。


と記入すれば済む話で、いたってシンプルです。

総務部長もこの通り説明しましたので、こうした記述になっていることは間違いありません。



しかし、控訴後50日以内に提出する控訴理由書は、事細かに論証する必要がありますので、弁護士は、市長が提出した証拠と主張がことごとく否認された1審の判決文を前に、頭を抱えていることでしょう。(次号に続く)