注意:櫻葉小説です。



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side 翔



なんで?

今日はこの席で飲むって?
俺の隣の席で飲むって……?


せっかく俺ができる限り避けてたのに??



相葉くんの行動に
あまりに驚きすぎて俺は何も言葉が出てこなかった。

相葉くんも顔を赤らめたままで
何も話さない。

その状況にいち早く反応したのはブッキーだった。




「いいじゃん!いいじゃん!」




ブッキーは若干、酔っている。

対して康介は酔ってなくて冷静。





ブ「相葉が努力しようとしてるの、すげぇーよ!俺は応援する!!!
そうだよな〜!苦手意識をいつまでも持ってたって改善できねぇんだからさ!
ショック療法でこれからは翔の近くになるべくいろよ!そしたらそのうち、いやでも慣れてくるって!!!」



康「本人の判断なら、俺もいいと思う。

翔が教育係ってのは、変えられそうにないんだから。だったら交流は避けられないしな。」



ブ「そーだ!そーだ!!!
今日はそのための飲み会でもあるんだし!いいぞいいぞ!ガンガン翔と接触したまえ〜相葉勇者よ!」



翔「でも無理しないほうが………」



ブ「相葉の心意気と努力にカンパイだ!カンパイ!もう一度やるぞー!ほら!みんなグラス持て〜〜」



翔「でも体調もあるし………」




ブ、康、雅「カンパ〜イ」



カチン……








ブ「相葉はキャンプとか興味ある?今度連れてくよ?俺、こう見えてキャンパーだからさ!」


康「けっこうキャンプグッズも揃えてるもんな?」


ブ「おう!この前もこれ買ったんだ。携帯で撮ったからさ!見て見て?」


康「どれどれ?何これ?どーやって使うやつ?」


ブ「えっとねぇ、これはねぇ……」









優しい2人は
盛り上げようとたくさん会話をして
相葉くんをリラックスさせようとしてる。


そこからキャンプの話は盛り上がり
2人が中心でワイワイ盛り上がってた。


俺も時々会話に入るけど
相葉くんが気になってあまり口数は多く話せないでいた。


相葉くんも同じような状態。








本当に大丈夫なのだろうか…………

ショック療法とか言っても
本人が決めたこととか言っても

その当の本人がすげー無理してたらどうなるよ?やばい状態になったりしねぇのかな?

体が拒絶反応示して、蕁麻疹どころか、高熱出たりしたらどうすんだ???







心配になって

隣の相葉くんをチラリと見る。




そうすると

相葉くんの体はまるで全身に力が入ってしまっているかのように固まってて
見るからに緊張が上から下まで彼を包み込んでいた。





そんなに無理しなくても………





あ、そうだ!



あれがあった!







俺はカバンからそれを取り出し、
箱をあけ、個包装になっているものを出すと、ブッキーや康介に気付かれないように


スッと横にノールックで
その個包装のものを相葉くんの真横に置いた。


それは
ここに来る前にドラッグストアに寄って相葉くんに渡そうと思っていた胃薬。

気分が悪くなったら、胃薬飲めば、俺の場合は少しだけスっとしてムカムカもおさまることがあるから、

念の為買っておいた。


気分が悪くなっちゃう張本人からそんなもの渡されて、果たして効果があるのかは謎だけど、無いよりはマシかもしれない。




相葉くんの横に置いたけど
気付かれなかったらそれでも、もういいかと思っていた。

でも相葉くんはすぐに気付いてその個包装の胃薬を手に持った。



それを見てちょっとだけホッとする。



………でも

そんなのは俺の身勝手な安堵に過ぎなかった。


少しして

よく見ると

相葉くんはその胃薬を飲むことなく握りしめたまま……








…………相葉くんの手は………震えてた。









………ああ………








俺はなんてバカなんだよ。







こんなに苦手なのに
こんなに努力して克服しようと頑張ってる彼に

契約恋人の話を持ちかけようとしてたなんて………





どれだけ身勝手で
どれだけ人の気持ちを無視するサイテーヤロウだったのか………







俺、マジでサイテーだ。








心の中で

猛省して…………








そして俺はグラスの飲み物を一気に胃に流し込んだ。

それをトンと置くと







「な?そろそろお開きにしよう。みんな明日も仕事だから。」





そう言った。






もう相葉くんをこの後誘うこともせず

『一刻も早く、
彼を家に帰してあげよう。
それと、二度と契約恋人なんてバカなことは口にもしないし、考えるのさえもやめよう。』




そう心に違った。





ブ「えっ?もう?……でもそうか〜
明日みんな仕事だしなぁ〜」

康「それもそうだね。またいつでも来ればいいし。隆ちゃんも今度は誘おうぜー」






みんな自分の飲み物を飲み干し、

終わる空気に持っていっていた。

2人の協力にもホント感謝だな……

そんなふうに思っていたら相葉くんがグッとまた体に力を入れながら発言した。







「櫻井先輩………」



「え?あ?はい?」








「この後、俺と2人で二次会行きませんか?」