いつも思うが、選挙モードになった安倍総理は一味違う。
日本記者クラブの党首討論で朝日新聞の坪井ゆずる記者に「その認識は間違っている」と厳しく指摘し、その理由を噛んで含めるように説明したのは痛快だった。
日韓関係が取り上げられた時のやり取りの一部をご紹介しよう。
坪井ゆずる
「政府は徴用工問題で事実上の対抗措置をとつた。これは歴史認識問題を通商政策と絡めるトランプさんみたいなやり方で、両国にとって良くないと皆が心配している。どういう形で決着させるという絵が描けているのか」
安倍総理
「その認識ははっきり言って間違っている。歴史問題を通商問題に絡めたのではない。徴用工問題は歴史問題ではなく、国際法条の約束を守るのかっ!(と力を込めて)ということ」
「1965年に請求権協定においてお互いに請求権を放棄した。これは国と国との約束。この約束を違えられてしまったらどうなるのかということ」
「慰安婦の合意(もそう)、首脳間、外務大臣間の合意。国連も当時のオバマ大統領もこれを評価した。こうした合意が守られていない。国際約束が守られていないという問題。あなたの認識は間違っている」
「今回の措置はWTOに反している措置ではなくて、貿易管理の問題。ワッセナー・アレンジメントという国際的なルールがあり、日本も入っている。これは安全保障上の貿易管理をそれぞれの国が果たしていかなければならないという義務」
「相手の国が約束を守れないのであれば、優遇措置は取れない。間違って報道しているところがあるが、禁輸するのではなくいままでの優遇措置を取らないという当然の判断。WTOに反するという話ではない。どうか正しい認識を持っていただきたい」
「認識が間違っている」「正しい認識を持て」と何度も繰り返し述べている。
「間違って報道しているところがある」とも述べ、党首討論の場で、朝日をはじめとするマスコミ各社が”どっちもどっち”に印象操作していることを強くたしなめた形だ。
菅官房長官などが「徴用工問題への対抗措置ではなく、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から運用を見直すもの」といくら説明しても分かろうとしないバカ記者にも分かるように懇切丁寧に説明したのである。
これより前に、坪井氏はしつこく「モリカケがー!」とやって、安倍総理に「安倍晋三小学校の誤報(*)がまだ訂正されていないと反撃を喰らっている。
昨年も安倍総理に国会の場でこの件も含めて散々批判されていたのに、また同じ愚を冒したのである。
(*)参考記事→安倍晋三首相、朝日新聞の“誤報”列挙し批判 産経 2018.2.13
https://www.sankei.com/politics/news/180213/plt1802130019-n1.html
実は、坪井氏は一昨年の衆院選時の党首討論の時にもモリカケを持ち出し、この時も次のように反撃を喰らっている。
安倍氏「まずですね、朝日新聞は先ほど申しあげた八田さんの報道もしておられない」
--(坪井氏)しています
安倍氏「いや、ほとんどしておられない。しているというのはちょっとですよ、ちょっとですよ。ほんのちょっと(会場から笑い)、アリバイづくりにしかしておられない。加戸さんについては証言された次の日にはまったくしておられない」
--(坪井氏)しています
安倍氏「批判があったから、投書欄などで載せておられますが」
--(坪井氏)いやいや
安倍氏「これはしかし、大切なことですから、ぜひ皆さん、これ調べていただきたいと思います。本当に胸を張ってしているというふうにいうことができますか」
--(坪井氏)はい、はい。できます
安倍氏「(あきれた様子で)これはあの、これはぜひ、、国民の皆さんですね、新聞をよくファクトチェックをしていただきたいと思います。
http://www.sankei.com/politics/news/171008/plt1710080091-n10.html
(関連拙エントリ『国難突破選挙でネット民ができること 2017-10-09』https://ameblo.jp/akiran1969/entry-12318073573.html)
坪井氏はこの時にやり込められたことの意趣返しのつもりなのか、またもやモリカケを持ち出して反撃され、それでも懲りずに「徴用工問題がー!」とやって、完璧に反論されてしまったのである。
実に痛快だ。
韓国に対する制裁発動に手順や準備が必要なことは理解していても、やはりストレスはたまる。
だから、やっと発動された制裁措置に慌てる韓国側の様子をネットなどで知るとスッとする。
そのうえ、朝日新聞が全国ネットのテレビ中継中に説教されたのである。
坪井氏は他にも女性・女系天皇の問題やLGBTの法的な権利に関して賛成者は挙手するように求めて、安倍総理や山口代表らに「印象操作はやめて」と突っ込まれている。
その場にいた記者たちの多くも「なぜ、こんなのに質問させるのだ」と思ったことだろう。
日ごろは慎重な発言が目立つ安倍総理も選挙モードになるとかなり変わる。
もちろん立場上言えないことも多いが、質問に答えるばかりの予算委員会や記者会見と違って、このような時にはしっかりと反論しているのである。
先日の三原じゅん子議員の「恥を知りなさい!」演説も痛快だったが、これも選挙モードになっているからだ。
だから、安倍総理が応援演説で来阪する時にはぜひ会場に足を運ぼうと思う。
(以上)