「雲のうえはいつも晴れだから」＠ウナ(スリランカ)

2019-01-19 10:09:34
テーマ：芸術

雲は赤ちゃんの産着のように地球をくるんでいる。

雲は0、01mm〜0、001mmの凝結した水であり、上空500m〜6000mにある。

水の惑星はさらに水の産着をまとっているのだ。

1960年代から飛行機が一般化して、人類ははじめて雲を上からながめた。

「ええっ、雲の上に天国がないじゃないか！？」

そこで見たのは神のいない雲の平原と無限に広がる青空だった。

胎内記憶をもつ子供が「雲の上からジャンプして、ママおなかにはいったよ」とか、「死んだら空に帰る」というのはうそじゃないか。

いや、それは我々がやってきて帰っていく別次元の象徴として、雲の上にたとえたのだ。

オレたちは雲の下にある地上であわただしい生活を送っている。

人間関係に悩み、自分の不甲斐なさに嫌気がさしたり、天候に一喜一憂しながら雨の恵みで育った作物を食べて暮らしている。

バンレイシ(釈迦頭)
雲の下の地上があなたという「個」が生きる「意識」の世界だ。

雲の上の空はあなたという「個」を超えた「無意識」の世界だ。

物理的面積で比べるとわかりやすい。

あなたの小さな生活圏が「意識」、無限の宇宙が「無意識」である。

あなたが生まれるとき宇宙(別次元)に散らばっていた魂のつぶつぶちゃんが胎児に集まって、あなたという「個」(意識)をつくる。

あなたが死ぬとき、あなたに集まっていた魂が宇宙(無意識)にもどっていく。

あなたという「個」や肉体は有限だが、あなたの魂は永遠に滅びることはない。

飛行機で雲を上からながめたとき、意識では「天国はない」とがっかりしながらも、無意識では雲の平原と無限に広がる青空が自分本来の存在だと気づいたのかもしれない。

今日はM40号の大作「雲のうえはいつも晴れだから」に挑戦してみよう。

ひょえーなんと複雑な抽象画だ。

向日葵も人物も風景も実態がある。

しかし雲は変幻自在であり、無数のバリエーションがあり、これという定型がない。

それがオレを苦しめる。

「形なきものを形にとどめる」という不可能を可能にしなければならない。

今さらながら、なんて難しい主題に挑戦してしまったのだろう。

白黒のみの絵の具で、力強いX構図に構成する。

なんか手ごたえを感じてきたぞ。

雲に動きが出てきた。

ここまでは白黒だが、バックにウルトラマリンをいれてみよう。

くんずほぐれつもみ合う雲のむこうに無限の宇宙がつづいている。
まさに「シェルタリングスカイ」(救いの空)じゃないか。

「雲のうえはいつも晴れだから」

冷たい雨がきみのほほを打つ
負け犬のようにきみはおびえてる
容赦ない風がきみの髪をなぶる
力尽き果てきみはひざを折る

雨も風も嵐のときも
雲のうえはいつも晴れだから
嘆き悲しみ涙落ちても
雲のうえからずっときみを見てる

洪水がきみを呑みこんでいく
岸は遠ざかりきみは空を見る
流されるままに身をゆだね
自分を信じるんだ　泳ぐな浮け

雨も風も嵐のときも
雲のうえはいつも晴れだから
嘆き悲しみ涙落ちても
雲のうえからずっときみを見てる

雲の隙間から光がさす
なぎ倒された木が大地を育む
泥水の川に緑が芽生える
そうだいじょうぶ
きみは生きている

きみの心の空高くには
きみの知らないきみが住んでる
無限の宇宙を永久に旅する
それがきみの本当の姿

雨も風も嵐のときも
雲のうえはいつも晴れだから
嘆き悲しみ涙落ちても
雲のうえからずっときみを見てる