いえー!
ドリフターズ第6巻発売になりましたな。
ドリフターズ 平野耕太
ざっくりあらすじ
島津豊久、織田信長、那須与一の3名はそれぞれの時代から突然、異世界へ飛ばされてしまいます。
そこはドラゴンやエルフがいるファンタジー世界でした。
そこで知り合った3名は、武士としての本能とあとは成り行きで、国盗り合戦を始めてしまうのです。
これまであまりメジャーとは言えない島津豊久が主人公。典型的な薩摩人として描かれてます。
信長は謀略家、与一は美少年、他歴史上の人物多数出演。
ざっくり過ぎたけどネタバレは避けたいので、内容については語りませんが、土方歳三については語りたい。
新撰組土方歳三
いうまでもなく土方歳三は、幕末最強の剣客集団新撰組の副長です。
徳川幕府が消え行く中で、この反時代的な組織に迷う事なく人生を賭けて、その生涯を明快に生きたお人です。
土方の生涯は短いです。
江戸から京の都へ登ったのは1863年(文久3年)で、亡くなったのは1869年(明治2年)35歳位です。
新撰組が京都で活躍した時期はそれほど長くないのです。
土方は徹底的にやったね。
幕府がなくなり新撰組が消滅したって、近藤先生が流山で処刑されたって、総司が病気で死んだってやった。
宇都宮会津最後は蝦夷まで転戦し徹底的にやったのだ。
すごい漢だ。北海道は寒いよー。
そこまで行く根性がエライと思う。
自分の人生が落ち目になっても、自分の本領を発揮する事ができる強さを持ってますよ。
こちらドリフターズの土方。
上の有名な写真を忠実に真似た、オールバックに洋服姿。
土方は合理的な考えの持ち主で、鳥羽伏見の戦いで敗戦した後は、洋式兵法を取り入れ着物はやめて洋装にしました。
漂流者(ドリフターズ)VS 廃棄物(エンズ)
さてこの漫画は漂流者(ドリフターズ)と廃棄物(エンズ)の戦いが繰り広げられます。
3名に代表される漂流者(ドリフターズ)一同が伸び伸びやってるのに比して、廃棄物(エンズ)の皆さんは恨み言ばっか言ってますな。
人類を滅亡させようとしている廃棄物(エンズ)は、かつては悔しい思いをして非業の最後を遂げたりして、根っこの部分はとても悲しいのです。
禍々しくて強スペック。
土方なぜ廃棄物なんだろか
薩奸死すべし!
島津が憎い。
実際、幕軍にいた人たちは、長州はまだ許せるけど薩摩は絶対許せねーと思ってたんですよね。
だから西南戦争が起こった時、意趣返しに鹿児島まで行ったんですよ。
ドリフターズで描かれてる土方は普段は無口だけど、豊久の前では薩摩憎しの感情が噴出してしまいます。
霧のような新撰組隊士を操り、集団で豊久に斬りつけてきます。
新撰組の戦法は、必ず敵よりも多い人数で取り囲み集団で襲撃したのです。
歴史は新撰組を生んだけど、新撰組が歴史的に果たした役割はない、とかいう人がいます。
でも歴史にどんな寄与をしたかなんて問題じゃない。
歴史は人の生きざまと死にざまで出来てるんだから、人の情熱とゆうものがすばらしいんだ。
土方は激しく時流に抵抗しました。
葛藤はあったろうけど、ブレはない。
これからだぜ。
戦う地がある限り戦い続けるぜ。
たった一人でも飛んでやるぜ。
(歳三心の声)
そんな、思い切りよく爽快に生きたと思ってたのに、なんでか廃棄物(エンズ)!!
切腹も許されず斬首された近藤勇。
結核で戦線離脱するしかなく血を吐いて死んでいった沖田総司。
こっちの方が、よっぽど廃棄物(エンズ)になりそうなのに。
ゴールデンカムイの土方
右に持った愛刀の和泉守兼定で斬ってからの、左手でウインチェスター銃をズドンっていう。
クルンて回す技なに?
映画で見たかも。
土方は志半ばで潰えた蝦夷共和国をもう一度作ろうとしてるのか。
永倉新八からは死地を求めてるんじゃないのか、とか言われてたけど。
とにかくカッコいいっす。
きっと生きてたらこんな感じに違いない。
司馬遼太郎燃えよ剣
新撰組が人気者になったのは、1960年代に発表された司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」がきっかけだそうです。
特にあの、沖田総司ね。
純粋無垢で明るくて屈託のない笑顔とか、透明感のある美形だけど子供好きとか、病弱だけど天才剣士みたいな。
沖田といえば高確率なこの造形は、燃えよ剣で司馬遼太郎が作ったものなんです。
沖田は飄々とした明るい若者で、いっつも土方に軽口を叩いてて、泣く子も黙る鬼の副長を平気でからかったりします。
土方は「黙れ総司」とか怒ったりしながらも、こいつにはかなわねーって感じで沖田には甘いのです。
この土方×沖田が燃えよ剣だけに萌えます。
70年代には少女漫画になりました。
天まであがれ
木原敏江
キラッキラッ。
盟友の近藤と土方より、なぜか土方と沖田の関係だけに特化した青春物語。
結核の沖田を置いて(置いてったわけではないんだが)出陣する土方に、自分も連れていってと泣いてすがる沖田。
脚色を加え過ぎだと思うが、二人の心情はきっとこうだったろうと思うと、これはこれで泣けます。
少女漫画の世界では、早くも土方×沖田に萌えのネタを発見していたのです。
ずたぼろになった豊久を殺そうとした土方に「そいつを斬ったらもう本物の武士はいなくなって、戦う相手がいなくなるよ」という沖田の声が聞こえてきます。
戦いたくてこんなとこまで流れてきたのにそれでいいのか、と。
その時、豊久を攻撃しようとした廃棄物(エンズ)軍を、手をだすんじゃねえ!とばかり滅する土方。
まじで?味方なのにー。
豊久だけでなく新撰組隊士たちも仰天です。
そっかー。
ヒラコー先生。
歳さんの未練は、人を憎んだり呪ったりじゃなく、もっと戦いたかったんだね。
オッケー、もう戦って、戦って、豊久と気が済むまで戦って、悲しみの大地に燃えつきてほしい。
あれ、そういう話?
じじどんもそろそろ何かしろよ。
げんじばんざい。