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台本、雑記置場

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 地方から首都圏に出て暮らしている、牧田さんの話。
 牧田さんの住んでいたある田舎の山村では、その地域特有の土地神を土着信仰していた。
 神は人を祟ると有名で、数年に一度その土地から子供を何人か神隠しすると言われていた。故に、信仰の対象でありながら昔から恐れ忌み嫌われていたという。
 その神は子供の本当の名前を知ると連れ去っていくと言われており、村では子供たちは本当の名前を呼び合うことを禁じられていた。
 例えば修一なら『修』、幸雄なら『幸』と呼び合って過ごしているのだ。
 神は超常的な力で名前を知るという事は出来ず、あの手この手を使い本人から名前を聞きだそうとしてくる。
 森で迷子が出ると、その子供から名を聞きだそうと化かしてくるそうだ。
 山村は周囲は木々に囲まれ、昼間でも薄暗い。そんな中響き渡る声に観念して名前を告げてしまうと、その子は決まって神隠しにあってしまうのだ。
 ある時小さな子供が森で迷子になり、神が子供を化かしてきた。
 森の闇のどこかから響いてくる不気味な声。しかしその日の神はいつもと様子が違っていた。神は子供に怯えないようにと猫撫で声を出し、迷子から助け出してあげるから、友達の名前をすべて教えて欲しいと迫って来た。
 不安と恐怖に耐えかねた子供は、友達の本名をすべて神に教えてしまった。
 すると神は約束を守り、子供を森から出してあげた。子供は後ろめたさを感じながら村に帰った。
 その年、山村ではかつてないほどの子供たちが神隠しの被害にあってしまう。迷子になった子は恐怖に耐えかね、大人たちに森で起きた事をすべて話した。
 大人たちは慌てふためいて子供だけで森に入ることを禁じ、森と村の境い目にいなくなった子供たちを供養するための地蔵をいくつも並べた。そして、この地蔵より外に出てはならぬと言いつけた。
 迷子の子の家族はひどい村八分にあい、村を去っていった。
「私があの時子供たちの名前を漏らしてしまわなければ……」牧田さんは目に涙を浮かべ最後にそう付け加えた。