アッパー 53 | 自虐ネタはお手の物

アッパー 53

「あ、おーいかなみー」
「大声で名前呼ばないでよ!何よ?」
「実はちょっと相談があってさ」
「だから何よ。さっさと言いなさい」
「お前告られたことある?」
「ふん。そんなのしょっちゅうに決まってんでしょ」
「おお、それは頼もしい」
「ふふん。当然よ私なら」
「彼氏いないけどな」
「ほっときなさいよ。あんたに関係ないでしょ」
「まあ、それでさ。その経験を見込んで、いい告白のしかたがあったら聞きたいんだ」
「……ふぅん。あんたにも好きな子なんているんだ。ま、どうせ振られるでしょうけど。相手は誰?」
「お前」
「……」
「と言う冗談は置いといて」
「ひ、人を馬鹿にするのもいいかげんにしなさいよっ!」
「なんだよ。絶対OKもらえる告り方あったら聞くぞ。お前用のやつ」
「そんなの自分で考えろ馬鹿っ!帰る!」
「あー悪かった悪かったごめん、ほんとに相談あるんだって聞いてくれよ」
「知るか馬鹿!ついてくんな!」
「悪かったってごめん、頼むこの通り。ファミーユでケーキおごるから聞いてくれ」
「……半熟オムライスもつけろ」
「わかった。つける」
「……反省してる?」
「してます。ごめんなさい」
「……今回だけだからね。今度やったら絶対に許さないから」
「今度やる時はーじゃなくて、相談事相談事」
「引っかかるけどいいわ。結局何なのよ相談って」
「ああ、実はさっき後輩に告られたんだけど」
「……え」

「これがかわいい子でさー、なんで俺好かれてんのかねー」
「ふ、ふーん……。趣味悪い子もいたものね。名前は?」
「知りたい?」
「べ、別に……関係ないし」
「そか。で、俺どうしたらいいかな」
「どう、って……そんなの知らないわよ。自分で考えたら」
「自分で考えて悩んでるから聞いてんじゃん。アドバイスくれよ」
「そんなの……好きにしたら」
「好きに、ですか。ふーん、好きにしていいんだ」
「な、何よ」
「ふぅん……。じゃ好きにするけど。後悔しない?」
「なんで私が後悔しなきゃいけないの?わけわかんない」
「そか。わかった、好きにする」
「……」
「じゃ、ケーキ食いに行こか」
「……いい。今日ちょっと気分乗らない。帰る」
「そう?じゃ今度な」
「……うん」
「なら早速返事してくるわ。んじゃな」
「……ばいばい」
「……」
「あはは……。ばいばい、だって。私なにやってるんだろ」
「……この気持ちにも、ばいばい、なのかな……」
「あはは……あは……うっ……」