私の生まれ故郷は
愛知県の三河なのだが
幼い頃
山犬の話を祖母がよく話してくれた。
むかしむかし木こりのじいさんのじいさんのじいさんの話
木こりが塩を売りに峠を通る時
山犬がついて来る
その山犬に塩を与える
そんなことが毎日
ある日
木こりが峠を通ると山犬が現れ
木こりの裾をひっぱる
ぐいぐいひっぱる
ひっぱられて山の奥に連れて行かれ
そのまま山犬が穴を掘る
その中に木こりを入れに木の葉を被せ
山犬はその上にちょこんと座る
すると
ドドドドドドドド
と地響きが
ものすごい数の山犬が現れ通り過ぎて行く
通り過ぎると
山犬は木の葉をどかした
山犬は毎日塩をくれる木こりを助けたのだろう
木こりはびっくり怖くなって
峠を通ることはなくなった
おわり
山犬はオオカミ?
よく似た話が静岡県の伝承であるようだが
調べてもあまり出て来ない。
もうこの話をする人はほとんどいない。
記録として残したい。
