世界のどこに行っても見られない景色や人に出会ったことありますか?


私はあるんです。



ホラーやオカルトの話じゃなくて、

なんていえばいいんだろう。


言葉で言えば、想像や妄想なんだろうけど、その時の記憶ってほぼ実体験並みに五感が覚えてるんです。漫画や小説の住人だった。私はそれを読みながら、その世界にいたんです、確かに。それだけじゃなくて、私の中に、たくさんの人がいて、外の世界で暮らす豊永阿紀の他に、いろんな女の子が住んでました。怖い話のようですが、感覚としてはそれが正解なんです。例えるなら、夢に近い感じ。


通学時間に、それを考えるのが好きでした。

ダーツの旅の第一村人になったり、闇の組織に拾われたり、金髪パーマだったり。そのフィルターをかけて、その人になって日常を過ごしてた。気づいたら1年経ってたり。


全部、私の思考の中で生まれたものなのに、懐かしいと思う匂いや風や景色って、よく考えてみたら私の記憶にしか存在しないものだったり、他の人格というと大げさだけれど、その子のものだったり。そういうのがずっと当たり前にあって。


だけど、いつからかそれをしなくなっていて、やり方もわからなくなっていて、それに気づいた時空を飛べなくなったキキの気持ちがわかった気がしました。


私の中に住むあの子もあの子もあの子も、あの頃は同い年だったのに、歳をとることもなく、時を止められたまま。


アウトプットが得意なら、それこそこれを何かの形にできたのだろうけれど、創作という方面になると、からきしだめなので、せめてわたしの中にだけはもう一度蘇るように、頭と心に余白を作りたいなと考えている最近です。


また会いたいな。