トローバ作曲のスペインの城は、各地の城を題材にした曲集で、10数曲の小品から構成されています。ギタリストのセゴヴィアが手を加えたものが良く知られていますが、それ以外にも魅力的な曲がたくさんあります。

 

「ハヴィエル」(エヴォカシオン 追想)

 

 

ハヴィエルは地名ですが、この地名を苗字にしたフランシスコ・ザビエルは、日本にも布教で訪れたことで知られています。その後、中国で息を引き取ることになるのですが、遠国への布教の旅は様々な苦労があったのかと思います。この曲はおそらくそうしたザビエルへの思いを表しているのかと思います、エボカシオンは「呼び起こす」という意味ですが、ここでは追想と訳してみました。

 

この曲については運指などにセゴヴィアの手が加えられたものはないのですが、ポルタメント(一つの音から次の音まで指を滑らせて連続的にならす技法)を取り入れたり、大事な音を、響きやすいポジションで弾くようにしたり、テヌート(音をしっかり長く伸ばす)を入れてみたりと、いろいろと工夫したので、セゴヴィア的な歌わせ方に近づけたのではないかと思います。

 

「アルバ・デ・トルメス(トローヴァ)」

 

 

トローヴァというのは、調べてみると、吟遊詩人が作った恋愛歌、と出てきます。弾いてみるとなんだか素朴な曲で、あまり恋愛歌っぽくないのですが、終結部に入る直前に、テヌートする部分があるのでその音をハイポジションで弾いて思い切り響かせることで、甘い曲想を表現してみました