2012年1月16日 1時10分
2892㌘の元気な男の子が産まれた。


15日 日曜日~
予定日も1週間を切り、そろそろ本格的に出産に向けて体を動かそう!
と言うことで、部屋の模様替えを思い付き、旦那さんと買い出しへ。
久しぶりの雨のせいか、一段と体も重く、半日かけて目的の店で買い物をし、たまにはDVDでも見ようとレンタルショップで物色。
夕食は、私のリクエストで旦那さんお得意のカレーライス!!

出産前にやりたいことをする!
が、口癖で『旦那さんのカレーライスを食べる』も、その一つだった。

お腹も満たされ、珍しく夕食後にソファーで熟睡。
その後、出産までは毎日一緒にお風呂に入る!の、やりたい事リストも達成し、寝る支度を始めた。

16日 2:00~
眠りにつこうとベッドに入り、いつものように寝付けずゴロゴロ。
すぐに、生理の時のような違和感があり急いでトイレへ。

噂の『おしるし』だと分かり、買い込んでいたマタニティー雑誌を引っ張り出し、陣痛の時のHOWtoページを読みあさる。

同時に微弱陣痛のような軽めの腹痛が始まり、間隔を計り始める。

7分~10分が一時間続き、5分~7分が一時間続いた。

徐々に痛みも強くなるが、今やっておくべきことはないか、部屋の中をウロウロ.....
爪を切り、ネイルを落とし、入院バックの、中身を確認.....
自分でも驚くほど冷静で、テレビも見れた。ついでに旦那さんのワイシャツとハンカチにもアイロンをかけ始め、いかにも嫁らしい事をしてみた。

5:00~
陣痛の間隔も短くなり、痛みも強くなったところでついに、破水!!!
経験はないけど、直感で分かった。

これはいよいよだな。
病院に電話して、もう少しの待機を命じられ不安になったので、『私の頼れる先輩ママ』の、旦那さんの妹に電話し、最後の確認と報告。

旦那さんを起こして着替えさせる。
突然の事にきっとプチパニックだったのだろう。
何からすれば良いか分からず、なぜか言葉に出しながらドライヤーをかけ始める。

このタイミングで髪の毛セットしなくてよくない?(笑)


6:00~
小雨が降り薄暗い中、車で五分の産婦人科へ。
かろうじて歩けたので、自力で診察台に上がり夜勤の看護師さんに間隔・子宮口をみてもらう。
まだまだ....
『早くて今日の夜中くらいですかね。
』明るくいい放つキレイな看護師さん。『そうですか!じゃあ仕事行こうかな。』と笑いながら会話する旦那。


冗談じゃない!!!!
こんな痛みが1日続くなんてあり得ない!!
絶対にお昼までには終わらせてやる~!!
心の中で誓った。

旦那さん、仕事に行く支度のため一旦帰宅。その間もベットで痛みをこらえ待つ。

ほどなく着替えて戻ってきた旦那さん、よく見たらワイシャツがグシャグシャ。
えっ?!
痛みと戦いながらわざわざアイロンかけたのに、なんでそのワイシャツ着てないわけ?!
『慌ててたから』
君が慌てなくてよくない?
髪の毛もいつものバッチリ感はなく、ちょいボサボサ。
なんとなくホッとした....
旦那さんも出産という初めてのイベントに一緒にドキドキしてくれてる。
一人じゃないと安心できた。

8:00~
子宮口1㎝ということで、待機部屋に移動する。
トイレも一人では厳しくなってきた。でも今のうちにスッキリさせとかないと、出産と同時に....って話を聞くから、出さねば。

産婦人科での初めての朝食が運ばれてきたが、もちろん食欲なんてなく、旦那さんに食べてもらった。
ホットケーキにフルーツヨーグルト。
食べたいけど、痛みでそれどころじゃない。悔しい....美味しそうに食べてる横顔は一生忘れないだろうな。


9:00~
痛みが酷くなってきた。
耐えられるか?
耐えられないか?
母が来てくれた。
旦那さんも必要だけど、世の中で一番『私』の取り扱いを知っている人。自分でもよく分からない痛みと戦う為にはいてくれなければならない。

とりあえず、噂通り腰を擦ってもらうと楽な気がするので、母と旦那さんに擦ってもらう。
部屋には付き添いが一人だけなので、交代で入室しながら。
私的には一秒でも擦る手をとめてほしくはないけど、擦ってる方はそりゃ疲れるよね。
分かっちゃいるけど、止められると痛みがダイレクトにくるからたまらない。
だからつい、きつく言っちゃう。
『早く擦ってよ!!』
反省してます.....


11:00~
陣痛の間隔が短くなるにつれて、痛みも我慢の限界を越えてきた。
痛みをこらえられずに壁を殴る。
殴っても痛みはなくならないのよ!!
と、母に諭される。
こんな時に叫ぶ妊婦さんがいるって話を聞いたことがあるけど、声を出す気力もない。

陣痛のピーク時は息もできない。
過呼吸になりそうなくらい苦しい。痛い、苦しい、痛い、苦しい.....
誰かこの痛みを和らげて...
早く解放されたい....
もうダメですって叫びたい...


12:00~
看護師さんが、旦那さんのお昼ご飯準備出来たから食べてきてください♪
と声をかけにきた。
まさかこんな時にご飯を食べに行くわけないよな。
擦ってくれないとダメなんですけど。

しかもなんだかトイレにも行きたくなってきた。
これは出しといた方がいいパターンの方だ。
そんな事頼めるの旦那さんしかいないのに~!!
お願いだから行かないで~!!
トイレ行きたい~!!
出そうなんですけど~!!


ご飯食べに行ってしまった....
しかも母も一旦、家に帰るとか言っていなくなった。
すべての事がMAXレベルに達してるのに、みんないなくなってしまった。


OH MY GOD!!!!

12:30~
様子を見に来てくれた看護師さんに、一言『トイレに行きたいです...』と言えた。
看護師さん『今行ける?歩けそう?』
いいえ行けません。歩けません。
『ちょっと子宮口見てみるね』
ちょっと体を動かすだけでも何かがでそうなのに、このタイミングで見るの~!!
声も出せないし、抵抗もできないのでされるがままに。
『あっ!もう出てきてる!分娩台に行こうか!』
やっぱり~!!
何かが出ると思ったし。
分娩台に行けば産まれる.....
最後の力を振り絞り自力で隣へ移動する。

分娩台にのり、何かしらの管を付けられ看護師さん達がスタンバイに付く。
痛みは何ら変わらない。
まだか、まだか.....
すぐに旦那さんが白衣を着せられ隣に来た。
『大事な時にいてくれなきゃ困りますよ!!』って後で言おう.....

こんな時こそ、あのおまじない。
《私は息をするだけ。あとは死んだふり。息をするだけ.....》

最後の気力で助産師さんに
『いきむ時だけ教えてください...』
言えた。
その時だけ、その時だけ思いっきりいきんでみよう。
それまでは息をするだけ。

何分間そう念じていたかは分からないが、先生が入ってきた。
いよいよだ。
もうわずかばかりしか、力は残っていない。果たして大丈夫か??


『はい、いきんで!!!』


これで終わる
これで痛みから解放される。

こんなにも弱っているのに、人間やれば出来るものだ。
三回いきんだ。
三回目は目をつぶった暗闇の中で星が光った。
何かが弾けた感覚だった。


13:10~
体の中で詰まっていたものが、ニュルっと抜け出た。

産まれた。

『終わった』とつぶやくと、先生が
『今から始まるんよ』と一言。
そうだ、今から新しい人生が始まるんだ!!

タオルで拭かれ、可愛らしい泣き声で動いている赤黒い我が子を抱かせてもらった。
まだまだ母親の実感なんて、微塵もない。母親ってどう変わればいいのかな?
グミの様に柔らかい君の体を触りながら、『私たちを選んでくれてありがとう。元気に出てきてくれてありがとう。』何度も心の声で伝えてみた。

母親になれるかな?
君のお母さんになれるかな?

すると、隣にずっと付き添ってくれていた旦那さんが『なる~』と呼びかけた。
君は 今日から大崎 成くんです。
我が家へようこそ。


産まれてきてくれてありがとう!!







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