2018年初版発行「老後の資金がありません」(垣谷美雨作)。

衝撃的なタイトルですよね。

2020年映画が公開される予定であったものが、コロナの影響で延期となっています。

2021年公開と公式ホームページではなっていますが、まだ日程までは決まっていないようです。

 

帯タイトルは、

がっちり貯めたはずなのに・・・

いきなり崖っぷち!

娘の派手婚、舅の葬儀、夫婦W失職

コメディ小説ですからね(笑)

とことん落として、そのドタバタぶりを笑う、というストーリーです。

 

 

面白いです。

時々出てくる年金制度、老齢基礎年金、厚生年金、企業年金基金などについて、踏み入って書いてあるし、後半に入ってのドタバタも現実離れしていて面白い。

 

一番良かったのが、仕送りができなくなってやむなく引き取った姑が、「お茶をいれて」と言ったことに、ムッとした嫁が「自分のことは今後自分でやってください」と言い返したところ、

「台所に入っちゃいけないのかと思ってた。それならそうと早く言ってよ、自分のことは自分でやりたかったのよ」と姑は姑がわで自分のペースでやりたいと分かったという場面。

 

その後、嫁がパートから疲れて帰ってくると、お惣菜が作ってあったりそれが本当に美味しかったり、姑は、「舅の軍人年金ももらっているから、老齢基礎年金は家計に入れて」とサクッと渡してきたり。

 

「言わなくても、察してよ!」ではなく、「言わなきゃわからない」の典型ですよね。

 

言ってもわからないのは、たいてい夫(笑)

 

苦境に立たされている自分の立場を曝け出すこともできない、長年の地元の親友ってなんだろう、とか、その親友に指摘された、「旧家のお嬢様だからこそ、周りと足並みを合わせないことが、逆に際立ってかっこよかった。あなたはそうやって地元の普通の私たちのことを、見下してた」という場面、いやあ、そのとおり。

 

子供の頃の無邪気な友達関係って大人まで続けられるのって環境が同じ、立場が同じ出ないとなかなか難しい。そして、生まれ育った環境がじわじわと培った、「自分には、これくらいのゆとりは許される」という意味のない贅沢。その中途半端な贅沢が積もり積もると大きな出費、例えばライフイベントにかける金額を跳ね上げている。

 

耳が痛い。

昨年から今年にかけて、どんどん処分したモノたち。

そういう物たちこそ、「これくらいのゆとりはあってもいいんじゃない?」の積み重ねでした。

過ごしてしまった期間は仕方ないけど、せめてこれからは・・・。

 

映画の配役は、私が想像したタイプとは違うようですが、楽しそうなので映画が公開されたら行ってみようと思います。